インターネットで情報を公開するメリットは3つあると、山口さんは言います。

 1つは、顧客の反応。月に4~5本アップするコラムがよく読まれていて、先週は名古屋に行かれていましたねとか、役員会の写真見ましたよとメールが来るそうです。

「思いがけないことでした。インターネットはお客さまと私をつなぐツールだったのです。しばらくお目にかかる機会がなかったお客さまともつながることができるのはありがたいことです」(山口さん)

 顧客側には司法書士に依頼する仕事が次々にあるという場合は少ないので、疎遠にならないように山口さんは時候の挨拶や節目の音信を心がけていると言います。加えて、インターネット上でコラムを定期的に書くことにより、顧客の側から継続的な関心とコンタクトを得ているようです。実際に会うことは不可能でも、こうしたメディアを活用することで、親密な関係を維持することができるわけです。

高い採用のマッチング率

 情報を公開するメリットの2つめは、新規(見込み)客の問い合わせが増えていること。特に新聞社運営の専門家サイトは、記事を読むと山口さんの考え方がよくわかるので、それが顧客への安心感となり、問い合わせにつながりやすいのです。

「まったく新規の問い合わせをいただけるのはポータルサイトの威力だと痛感します」(山口さん)

 そして3つめは採用です。

「サイトを見て、コスモの方針や考えを理解したうえで、応募して来る方が多いので、ミスマッチがなくなりました。これは非常に大きな利点です」(山口さん)

 司法書士法人は人材第一。資格を持つ人、司法書士を目指しながら働きたい人、いずれも有望な人が集まってくることが発展の条件だと言います。

「たくさんの見知らぬ方に、私やコスモのことを知っていただけるインターネットの役割は大きいですね」(山口さん)

 山口さんは、司法書士法人の代表でありながら、顧客訪問もできるだけ行い、そのかたわら、税理士と組んで『わかりやすい相続税・贈与税と相続対策'12~'13』(共著/成美堂出版)を執筆。この書籍は初版より改訂を重ね、10年目を迎えました。また司法書士試験受験生のために書き下ろした『まる覚え司法書士』シリーズも3巻を数えます。講演やセミナーの演壇に立つことも多く、それが司法書士という専門職を超えた魅力になっています。

「質の高いリーガルサービスの提供を広げるためには、質の高い司法書士育成が必要です。教育事業にも力を入れ、信頼できる司法書士法人として、お客さまに貢献し続けたいと思います」と、パワフルに語る山口さん。今日も、山口さんのサービスマインドに魅せられたお客さまからの新しい相談は途絶えることがありません。