戦時の商社#1Photo:gremlin/gettyimages

ダイヤモンド編集部は過去15年間の七大総合商社の各国・地域の駐在員数や投資額の変化を分析した。中国やロシアからの撤退が進んでいることや、日系自動車メーカーのEV(電気自動車)開発の出遅れが商社のビジネスに影を落としている実態が明らかになった。要員の6割超を中国から引き揚げた商社もあった。特集『戦時の商社』(全16回)の#1では、商社の人員配置の変化から、各社の経営戦略と、激変する世界の政治経済の動向を読み解く。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

加速する中国からの撤退
ASEAN、米国では1.5~2倍の商社も

 ダイヤモンド編集部は、ブレーントラスト社の総合商社専門誌「週刊ブレーンズ」の駐在員数のデータなどを基に、2008~23年の七大商社の中国、米国、ASEAN(東南アジア諸国連合)、欧州における駐在員数や投資額の変化を分析した。

 すると、カントリーリスクが高まっている中国やロシアからヒトやカネを引き揚げている実態が明らかになった。中国から人員を6割減少させ、リスクマネー(投融資保証、貿易債権などの合計)を5年で1割減らした商社もあった。

 一方、商社が駐在員を増員している国・地域を見ると、各社の強かな成長戦略が明らかになった。商社は、米中分断や、脱炭素に向けた巨額投資をどのように成長に生かそうとしているのか。

 次ページでは、商社の駐在員数、現地社員数、出向者数の増減の要因と、各社の戦略に迫る。