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noteが売上高、利益共に過去最高を更新し、投資回収フェーズへの突入を宣言した。広告を排し、読者がクリエイターに直接課金する手数料モデルで「情報のインフラ」を標榜するが、市場が危惧するのはかつての覇者、mixiがたどった急減速の再来だ。X(旧Twitter)の長文参入など競合の影も差す。長期連載『メディア興亡』内の特集『note解剖』#1で、note経営陣が描く「ストック型ビジネス」の持続性を検証する。(フリーライター 松田晋吾)
過去最高益で回収フェーズへ突入
「治安」が生んだ独自の収益モデル
「売上高、利益指標はいずれも非常に高い成長率を維持している」
noteが2026年1月に開いた25年11月期連結決算の記者会見。鹿島幸裕CFO(最高財務責任者)はそう手応えを口にした。売上高は前年比25%増の41億円、当期純利益は同4.5倍の4億円と増収増益を達成し、いずれも過去最高を更新した。
成長の原動力は、運営する長文などのコンテンツ投稿サイト「note」の利用者数の増加だ。
noteには記事を中心に漫画や音声、動画などを投稿できる。25年11月末時点で約6956万件ものコンテンツが公開され、会員登録者数は1114万人、MAU(月間アクティブユーザー)は8660万人に達した。22年の上場後は全ての指標で右肩上がりの成長が続く。多くのクリエイターが集まり、熱量の高いコンテンツが日々生まれ続けるプラットフォームへと進化した。
ビジネスモデルは他のメディアとは一線を画する。
投稿者がコンテンツを有料にするか無料にするかを自ら決められ、記事単発や月額課金、投げ銭などさまざまな課金機能を備える。noteはこの有料課金額から事務手数料を差し引いた金額の10~20%を手数料として収益とする。
ウェブ上のニュースサイトやブログサービスは広告収入モデルが主流で、アクセス数重視の傾向が強い。だがnoteには広告も、アクセスランキングもない。そのため、PV(ページビュー)獲得目的の炎上を起こすインセンティブが生じにくい。深津貴之CXO(ユーザー体験の最高責任者)はその設計思想をこう説明する。
「プラットフォームの『治安』は『何でもうかるか』で決まる。noteが目指すのは、PVやインプレッション(表示された回数)だけではもうかりにくく、継続率や読了率でもうかりやすい設計。だからこそ、継続的にネットを良くすればもうかる、みんなの役立つ知識や経験を共有するほど人気者になる、読者に感謝され読者が成長するほど達成感を得られるような設計を目指すべきだと考えている」
広告収入モデルが主流のウェブメディア界において、PV至上主義を排除したnoteの設計思想は異彩を放つ。会員数1100万人を超え、右肩上がりの成長を続ける同社が今、創業以来の投資フェーズを終え、ついに回収フェーズへとかじを切った。
時価総額500億円に達した期待の裏側で、創業者の加藤貞顕CEO(最高経営責任者)が語る「インフラへの入り口」の真意、そして独自モデルが内包する「もろさ」の正体に次ページで迫る。







