基本的な置き換えには、次のようなものがあります。
■置き換え
《内容を反対にして置き換える》 例:「彼は私を大切にしている」
《主語を置き換える》 例:「私は彼を大切にしていない」
*「主語を置き換える」ことができるのは、文章の中に、登場人物が二人いる場合です。
《自分自身に置き換える》 例:「私は私を大切にしていない」
そして、置き換えた文章のそれぞれに対し、真実味のある3つの具体例ないし理由を挙げましょう。小さなことでも構いません。
たとえば、内容を反対にした置き換え、「彼は私を大切にしている」については、「朝、必ずおはようと言ってくれる」ということかもしれませんし、「人前で、自分のことをほめてくれたことがある」ということかもしれません。主語を置き換えた「私は彼を大切にしていない」については、頭の中で彼を攻撃しているかもしれません。
ただし、置き換えは自分を責めるためのものではありません。素直に認めることはよいのですが、自己批判や自己非難に陥らないように注意する必要があります。自分に対して優しく、思いやりをもって取り組みます。自分自身に置き換えた「私は私を大切にしていない」というのは、彼のことを考えることに多大なエネルギーと時間をかけ、本来自分がすべきことがおろそかになっているかもしれませんし、「彼が私のことを大切にしていない」と考える度に、自分で自分を貶め、心を傷つけているかもしれません。
ストレスをもたらしている考えを信じている時には、視野が狭くなり、その考えを証明する証拠だけが目に入ります。置き換えた文章の具体例を挙げることで、目を向けていなかった現実が見え、バランスがとれ、心が和らぎます。なお、無理に自己納得させるのではなく、本当にそうだと思える具体例や理由を挙げることが大切です。
こんな簡単なことで効果が出るのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「ワークについて考える」のと、実際にワークに取り組むのは、異なります。ぜひご自身で試していただければと思います。
この手順は基本的なものですが、実際のセッションでは、この通りに行なわれないこともあります。ケイティが実際にワークを行なっている映像をこちらのサイトからご覧下さい。
また、詳しい考え方や方法については、ワークの基本図書であるバイロン・ケイティ著『ザ・ワーク』でご覧いただけます。