論理的な反論から開き直りまで
そしてアメリカ人を見ていて痛感するのは、減速発言に対する反論の巧みさです。彼らは自らのコンセプトが批判されたとき、感情の言葉ではなく、論理の言葉で反論できます。というのも、基本的に他人は無責任に批判するんですね。なんとなく気に食わないとか、なんとなく実現するイメージが湧かないとか、その程度の感情によってさしたる論拠のないまま批判してくるのが他人というものです。
だったら、批判してきた相手の論理的矛盾を見抜き、そこを突くように反論する。感情に感情をぶつけるのではなく、感情には論理をぶつけるのです。アメリカの研究者たちは、このあたりがしっかり訓練されていますね。
それでもなお、批判してくる人がいたらどうするか?
ロジックで説明しても通用せず、あれこれ批判してくる人がいたらどうするか?
答えはひとつ。開き直るしかありません。
たとえばフィールズ賞の広中先生の場合、これ以上話しても無駄だと思ったときには「ぼく、アホやもん」と言って開き直るのだといいます。ぼくはアホなんやから、もうほっといてくれ。アホのやることやと思って勝手にやらせてくれ、と。
この大胆な開き直りは、わたしの研究室で開催している「バカゼミ」にも通じる考え方なのです。
*次回の更新は8月26日です。
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