もし本当に、運転免許を取らない若者や、クルマに乗らない若者の比率がそれなりに高まってきたというのであれば、「免許離れ、クルマ離れ」といっていいでしょう。そして、その記事のなかに出てきたデータ自体は正しいのですが、「若者の免許離れ」という記事内容はデータとまったく合っていませんでした。

 自動車教習所についてのデータをグラフ化した図表3をみてください。指定自動車教習所の卒業生は、1990年前後には年間250万人を超えていましたが、2000年前後には約200万人に減り、2009年以降は年間160万人を割り込んでいます。2002年と比べて約40万人減ったという指摘は、たしかに正しいのです。

 また、指定自動車教習所の数も10年で100校以上減りました。これも正しい数字ですが、図表3のグラフでみると印象がかなり違うでしょう。1992〜2012年の20年で、教習所は約1割(12%)減りましたが、卒業生は約4割(38%)減っています。2002〜2012年の10年間でみても、卒業生は19%減少しているのに対して、教習所は8%の減少にとどまっています。

 しかも、卒業生減少の主因は少子化です。たとえば、2012年での20歳代の人口は、10年前に比べて約400万人少なくなっています。20歳代には10年間ぶんの誕生日の人がふくまれますから、400万人を10で割って、20歳代の各年齢当たりでみて、10年前と比べると、約40万人の減少となります。

 教習所の卒業生減少とほぼ同規模です。全員が20歳代で免許を取るわけではありませんし、他の要因も関係しているでしょうが、教習所の卒業生が減った原因の大部分は、少子化で説明できそうです。

 少子化によって若者の人口が減ったことで、教習所に通う人が自然に減り、その割に教習所数の減り方が遅いから、競争が激化したというのが事実です。