もっときちんと確認してみましょう。20〜39歳を対象に、年齢別の人口に対する免許保有者の比率を「免許取得率」として計算した結果が、図表4です。

 なお、免許保有者のデータは警察庁のホームページから、日本の人口のデータは総務省のホームページから得ています。前者は各年12月末の値、後者は各年10月1日の値ですので、若干のずれがあります。

 免許取得率を計算するうえで、このずれは無視できる範囲のものですが、異なる統計から得たデータを使って計算していますので、なんらかの誤差があることを否定できません。つまり、小さな変化だけでは結論を導けない性質のデータだと考えるべきです。

図表4では、2012年とその10年前の2002年で、免許取得率を男女別に比較しています。男性の場合、25〜29歳、30〜34歳、35〜39歳のそれぞれで、1〜2ポイントの差があり、少しは免許取得率が下がったといえますが、どれも2ポイント未満の低下でしかありません。2つの異なる統計から計算しているための誤差と、取得年齢が遅くなった可能性を考えると、「若者の免許離れが起きている」というには小さすぎる差です。

女性の場合、25〜29歳、30〜34歳の免許取得率はほとんど変化していません(どちらも0.5ポイント未満の変化にとどまっています)。35〜39歳では、2.1ポイント上昇しています。

 なお、20歳代前半の免許取得率はそれより上の年齢層よりも低いのですが、これは自然な現象です。25歳以降に免許を取得する人が一定程度いますから、結果として、20歳代後半よりも20歳代前半のほうが(さらに19歳18歳のほうが)免許取得率が低いのは当然です。

 そういった注意点がある20〜24歳の免許取得率が、10年前と比べて、男性で3.9ポイント、女性で3.3ポイントだけ低くなっていますが、このデータだけでは、免許離れとはいえません。2012年に20歳代前半だった人たちが、そのあと数年でどれほど免許取得率を高めるかをみたうえでないと、判断できません。グラフが「下」にずれたのか、「右」にずれたのか、いまはまだ判断できないのです。

 改めて、図表2で自動車教習料の物価推移をみると、需要が大幅に減ってきた割には、さほど値下がりしていません。消費者物価指数でみると、クルマそのものもほとんど値下がりしていないにもかかわらず、若者の免許取得率はさほど下がっていないのですから、クルマ離れは起きていないと感じられます。