あなたの「医療保険」、本当に必要ですか?テレビを見ていると毎日、「医療保険」勧誘のコマーシャルが大量に流れます。しかし、それは本当に必要なのでしょうか?
実際に、大きな病気をして手術や入院で100万円支払ったとしても、実際の負担は実は9万円足らず。70歳以上であれば最高額で4万4400円。毎月、医療保険の保険料を支払うよりも、公的な「健康保険」を使い倒した方がおトクなのです!
今回は『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』から抜粋して、内容をご紹介します。
医療費が100万円かかっても
高額療養費があるので自己負担は9万円!
「病気になってたくさん医療費がかかったらどうしよう……」
こんな不安を抱えている人は多いのではないでしょうか。Aさん(35歳)もそのひとりで、連日テレビから流れる生命保険のコマーシャルを見て、「入院したらお金がたくさんかかるもの」と思い込んでいました。ところが、先日、実際に入院を経験して、医療費に対する考え方がガラリと変わったのです。
病気やケガをして医療機関で治療を受けると、患者は年齢や収入に応じて自分が使った医療費の1~3割を自己負担します。これは、日本では誰もがなんらかの健康保険に加入しているからで、残りの9~7割は健康保険が支払ってくれています。
Aさんにかかった医療費は、1週間の入院、検査、手術などで合計100万円。35歳のAさんの自己負担割合は3割なので、30万円支払うのかというと、そのような心配はありません。健康保険には患者の負担を軽減するための高額療養費という制度があり、1ヵ月に自己負担する医療費には上限が設けられています。医療費が高額になった場合は、申請すると払い戻しを受けられるというおトクな制度です。
月収が53万円未満のAさんの場合、1ヵ月の自己負担限度額は【8万100円+(かかった医療費-26万7000円)×1%】で計算します。病院にはいったん30万円を支払いましたが、勤務先に申請すると限度額を超えた約21万円が払い戻され、最終的な支払いは約9万円でした。
「これまで高額療養費のことを知らなかったので、入院したらたくさんお金がかかると思い込んでいたのですが、実際の負担は思っていたより少なくて済みました。ふだんは意識しないけれど、健康保険のありがたみが分かりました」
このように医療費が高くなっても、自己負担するお金には上限があるのですが、Aさんのように高額療養費の存在を知らない人は案外多いもの。おもに中小企業の従業員が加入している協会けんぽ(旧・政府管掌健康保険)という健康保険では、2003年に高額療養費を利用できるケースが179万件もあったのに、69万件は還付申請がされないままだったそうです。現在は、該当者にお知らせの通知を送るようになりましたが、原則的に申請しないとお金は戻らず、保障内容について説明を受ける機会もほとんどないので、知らずに損している人もいるようです。でも、せっかく健康保険料を納めているのですから、制度を調べて最大限に利用するようにしたいものです。