くたびれ切って介護に限界を感じてしまう状態、これを「介護の疲弊期」と呼びます。くたびれ切ってしまった人が血圧が上がったり、胃潰瘍になったりして医師に診断をあおぐと、「自律神経失調症」が原因と言われます。自力で治そうと、温泉に行くなどしてリラックスを試みるのですが、根本的な治療をしないで放置しておいたために、胃に穴があいてしまったという人も珍しくありません。糖尿病やリウマチ性の疾患といったような異常が、ストレスが原因で次々に発生することもあります。

 ストレスから胃が痛い、頭痛が取れない、めまいがする、立ちくらみがする、ちょっとしたことでイライラする、眠れないなどの不定愁訴を訴える方々が、精密検査まで受けたのだけれど、どこも悪くないといわれてしまい、迷ったあげくに、心療内科の診察を希望なさることが多いのです。「レントゲンで見てもどこも悪くないのに、なぜ腰が痛いのでしょうか?」と質問される方など、容態の悪さは様々ですが、こうした精密検査やレントゲンの結果、目に見える疾患があるように思えないのに、胃が痛いというような症状が出てくることを「機能障害」といいます。

本人が気づきにくい
「仮面うつ病」に至る場合も

 「機能障害」は、まさしくストレッサーに対する個人の抵抗力(適応力)が、限度を超えたために起こる身体的異常と言えます。中には診察中にとても元気にお話をして、具合が悪そうには見えない方もいらっしゃいます。

 たいていの場合、そういう方はこうおっしゃいます。「私、いたって元気なんです、でも肩や胸や背中が呼吸できないほど痛くなることがあるんです。どうしてなんでしょう、どこも悪くないはずなんです」と。

 こうした症状には「仮面うつ病」という診断名がつくことが多いのです。がんばりすぎているために、身体的な苦痛(胃痛や、身体の筋肉痛のような痛みやしびれ)が、うつ病がもたらしている状態だと気がつかないのです。笑いながら「まさかー、わたしが欝だなんて」とおっしゃったりする。ところが鎮痛剤で治らなかった痛みが、安定剤やうつ病の薬で軽減されることが多いのです。これが、仮面うつ病の特徴です。ちょうど仮面を取った後の顔が苦しい顔なのに、普段は笑った仮面をかぶった自分の顔を鏡で見て元気を装っているようなものです。