「新築の価格が上昇する」とみられる局面に入ると、中古に人気が集まる。これがマーケットのセオリーだ。現在、中古戸建ては先高感から、売却の新規登録が減り、モノが動きづらい状況。しかし、それも先が見え始めたという。不動産会社の店頭やウェブ上の物件サイトからはわからない、中古の戸建て市場の大きなうねりを、不動産ジャーナリストの目黒孝一氏に聞いた。
マーケットは活性化
新規登録は減少傾向
目黒孝一 めぐろ こういち
1947年、北海道生まれ。不動産経済研究所で大手不動産・マンション各社、商社、住宅メーカーなどを中心に取材を重ねる。同社常務取締役を経て、08年よりフリーで執筆活動を続ける。
「中古住宅を売買しようとするとき、マーケットを捉えることは重要です。大きな動きは、首都圏でしたら東日本レインズ(東日本不動産流通機構)のデータから読み取れます」と、目黒孝一氏。
中古住宅を売る場合、仲介業者はレインズという業者間ネットワークに物件を「新規登録」する。しばらくして売れたら、「成約」してネットワークから消えていく。
その成約数を四半期別に見ていくと、2011年7~9月から9期連続で前年比プラスとなっており、価格は3期ぶりの上昇、13年7~9月の成約数は2972件で、この10年間で最も多い。取引が活発化しているわけだ。
「アベノミクスの影響や9月の東京オリンピック開催決定、10月の消費税増税決定などから、新築の価格が上がると見込んで、中古に動きが出ているわけです。9月だけ見ても、1都3県そろって前年同月を上回っており、特に埼玉県では2割近い増加になっています。その一方で、中古戸建ての新規登録数は10カ月連続で前年同月を下回っています」
「価格が上がりそう」と思えば、売り控えするケースが出てくる。こうした減少傾向は続いているものの、減るスピードは弱まってきており、縮小率も縮減傾向で、そろそろ「底が見えたか!?」という状況にあるという。