2009年7月19日に鳴り物入りでスタートした「ツエルプフォース」(@Twelpforce、ツイッターによる“help force”の意)は、顧客やこれから顧客になるかもしれない消費者が、ツイッターで自由に質問を投げかけ、それに約2500人のベストバイ従業員が答えるオンラインのカスタマー・サービスだ。

 社内のソーシャルウェブのパワー・ユーザーを中心に@Twelpforceへの参加を募り、500人からはじめて2500人にまで増やしてきた。もちろん勤務時間中に@Twelpforceをやってもよい。といっても手待ちや空き時間にやることが多く、社として人件費がそう増えるわけではない。勤務時間外は個人の自由で、給与には反映されない。

 しかし、質問に応えると顧客から感謝されることに加え、多くの人に自分の知識や専門性を披露することになるから、満足感はある。また一人ひとりがベストバイを代表して顧客に対応していることが、やりがいをもたらす。つまり、自主的に参加するという従業員個人のやる気を活かした仕組みなのである。

 @Twelpforceは一日あたり約98ツイートをしており、サンクスギビング(米国では販売が集中する)前までに累計約2万5000の質問に応えている。いまのところ問い合わせのうち、商品の選択と故障などトラブルが半々という。「私どもの従業員への24時間のアクセスです」と、ベストバイのインタラクティブ・マーケティング&エマージング・メディア担当ディレクターを務めるブラッド・スミス氏は語る(2009年11月27日付けNYtimes)。

 顧客は店に行く前に色々と質問や確認ができるので、1時間ドライブして行ったのに空振りということもなくなる。電話でも同じことはできるが、ツイッターの方が簡便だ。店内からツイートする顧客すらいるという。

 また、ツイッターでは1人に応えると、同じ問題を持つ他の人にも応えていることになり、ベストバイからみても、コミュニケーションの効率が高い。顧客の商品選びを手伝い、店舗に誘導することもできる。

「カスタマー・サービス3.0」を
目指す本気の公開実験

 ベストバイCMOのバリー・ジャッジ氏は、@Twelpforceはリスクのある公開実験だと、自身のブログで語っている。また、@Twelpforceに取り組む理由として、顧客との信頼関係を築く、組織全体がカスタマー・サービスを考え直す、現場にソーシャルウェブを浸透させる、といったことをあげている。

 店舗現場は、ローカルのコミュニティと密着することが大切だが、ツイッターはローカルとパーソナルの両方の性格を持ち合わせている。

 ツイッターにより、店舗で「待ち」の姿勢だけでなく、店の外の声や会話にこちらからアプローチすることができる。そして、カスタマー・サービスは担当部門に任せるのでなく、全員がやるものだと再定義できる。また、従来型の一方通行のマーケティング・コミュニケーションとカスタマー・サービスとの境を消してくれると期待している。つまり、情報や知恵を欲している人とつながり、その人を助けることで、顧客となってもらうという能動的なアプローチだ。

 また、ソーシャル&エマージング・メディア・マネジャーのジョン・ベルニア氏は、@Twelpforceを「カスタマー・サービス3.0」と呼んでいる。ブランド・エクイティ(ブランドの持つ資産価値)への貢献と、社内の人材を活用する意義は大きいと指摘している。さらに、ツイッターでのカスタマー・サービスにとどまらず、ベストバイによるヘルブへと進化させたいという。また、古い製品やトラブル情報など知識の倉庫としても期待している。