新聞と雑誌書評のクセをつかむ
次に、新聞書評の読み方について詳しく書いておきましょう。新聞の書評は、新聞社によって違いますが、大まかに言うと文化部と学者や評論家、作家などでつくる書評委員チームが担当しています。各紙によって、メンバーが異なるので、当然ながら取り上げる本も違ってきます。
では、その中で「自分のアンテナに引っかかる本」を紹介してくれるものをどうやって新聞と雑誌書評のクセをつかんで選べばいいのでしょうか。
一つ目の方法は、新聞社の編集方針で判断することです。当たり前のことですが、日経新聞は経済紙なので、経済の本、ビジネスの本が取り上げられることが多い。保守色の強い産経新聞は、太平洋戦争や日本史をテーマとした本が多いといった具合です。朝日新聞や読売新聞は、オールジャンル、バランス重視といったところでしょうか。
新聞社のカラーでピンとこない場合は、評者で選びます。書評委員会のメンバーに、自分の感性に近い人が多い新聞を買うわけです。これを判断するのに一番いい方法は、図書館に行って、各紙の日曜版を過去数週間にさかのぼって読んでみることです。足を運ぶのが面倒な人は、日曜日にコンビニで主要な新聞を買って比較してみるとよくわかります。
参考までに、僕の「お気に入り書評」を書いておくと、一番よく読むのは毎日新聞、次が産経、読売という順番です。朝日新聞もいい新聞だとは思いますが、好みに合いません。毎日新聞の書評欄で好きな評者は、荒川洋治、川本三郎という大ベテランの両氏。産経新聞では、石原千明氏の文芸批評を楽しみにしています。
このように、自分なりにお気に入りの書評欄をいくつか持っておくと、新聞も読みがいがあります。まずは、新聞や雑誌の気に入った書評をノートにスクラップしてみましょう。切り抜いたり読み返したりを続けているうちに、自分の感性に合う評者が浮かび上がってくるはずです。