読書ノートは読み返さないと宝の持ちぐされだ。ノートには自分の発見がたくさん隠されている。では、どのようにノートを読み返し、自分をつくることに役立てていけばいいのだろうか?シリーズ累計50万部の『読書は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』から、そのコツを紹介する。

アウトプットするから財産にできる

 今回は、自分の考えを深めていくための読書ノートの使い方についてお話しします。

 とりとめのないことを人に話しているうちに、自分が何を考えているのかだんだんわかってくる。このような経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。書いたり、話したりするためには、支離滅裂な思考を再構築し、相手に伝えるために言語化しなければなりません。

 その意味で、人に教えるのは、もっとも身近なアウトプットと言えるでしょう。自分ではよくわかっているつもりのことでも、しゃべったり書いたりするとなると調べなければならないことがたくさん出てきます。講演や本の執筆も一緒です。

 自分ではよく知っているつもりのことでも、いざ人前で発表するとなると、出典やデータ、理解などの曖昧な点をつぶして、体系的な知識を組み立てておかなければならない。結果的にほとんど一から学び直すようなかたちになって、その手間に愕然とすることもよくあります。

 それでも、この苦労に直面したことがある人は、そこらへんの半可通とは一線を画すことになるでしょう。政治の話は日本中の床屋で行われているし、政治記者だってたくさんいるけれど、まとまった政治評論となると、書ける人はほとんどいません。情報がいくらあったとしても、アウトプットをしないと体系的な知識にはならないわけです。

 つまり、人はよく知っているからしゃべったり本を書いたりできるのではなく、講演したり文章を書いたりするから、より高度に「知る」ことができるのです。その意味では、読書ノートを書くときに、

「どの文章を抜き出すか」
「それにどうコメントを書くか」

 と判断したり考えたりすることは、アウトプットの第一歩と言えます。その読書ノートを書きっぱなしにせず、気になったことが出てきたら、ノートをこまめに見返したり、ときには、今まで読んできた本のリストとして眺めてみたりする。これは、アウトプットの繰り返し、駄目押しと言ってもいいかもしれません。そうやって、自分の情報の咀嚼に、さらに咀嚼を加えていくのです。