自分と向き合い、業界を絞る
そこでT君は、ESを書くのを止めて、自分が「心からヤリタイコト」と向き合うことにした。
上記に挙げた志望理由の中で、自分が一番したいことは何なのか。それはなぜなのか。過去にどんな経験があったからそう思うのか。その思いは一時的なものではなかったのか。思いの強さはどれほどか。過去・現在を分析して、未来への思いと向き合い直した。
仲間とも散々語り合った結果、「人の挑戦を応援したい」という就活の軸を見つけた。人一倍負けず嫌いだった分、挫折も多かったT君らしい軸だと僕も思った。
その軸を元に、彼が選んだ業界は、「銀行」「人材」「教育」だった。
「銀行」では企業を融資や投資の側面から挑戦を応援できると思った。
「人材」では企業の採用戦略や個人の就転職を、「教育」では個人の能力向上において、同様のことができると考えた結果だ。
3業界で、挑戦を応援する方法(手段)は違う。しかし、最終的に実現したいことはまったく同じ。
彼の中では過去の経験に裏打ちされた力強い軸であり、ESに書く内容にもまったく困らない業界だった。当初、志望していた業界とガラリと変わったが、ESをスムーズに書くことができた。
T君はそれ以降、早々と第一志望に内定をもらい、就職活動を終えていった。
いったんESを離れ、
自己分析に戻ってみる
T君は自分を偽っていたわけではないが、どこもそこそこ興味があるので「何となく」就活をしてしまっていたので苦しくなってしまった。一方で、軸を見つけることができてからは、ブレずに前に進むことができた。
ブレないESのために、ぜひみんなにも立ち止まってほしい。
「今さら自己分析か!」という声も聞こえてきそうだ。
「今からでは遅すぎるよ」という声も聞こえてきそうだ。
無理もない、ES締め切りが迫ってきているのだから。
ただ、少し考えてみてほしい。
ESは準備がすべて、とにかく準備に時間を割いてほしい。急がば回れだ。
できれば1週間(T君は1週間だった。)、それが難しいなら3日でも良い、「この日までに考え抜く」と時間を決めて取り組んでみてほしい。