短期業績と中期の展望:
短期では値上げ寄与も中期は利益停滞

 1~3月期の内需は、景気回復や消費増税前の前倒し需要に伴い、堅調に推移したと推測している。事実、1月の紙・板紙の名目内需は前年同月比8.4%の拡大。主要製品のうち、印刷用紙で10%、段ボール原紙で11%、のそれぞれ拡大となっている。しかし、4~6月期以降は、値上げ前や増税前の前倒し需要の反動が出てくる可能性が否めない。

 段ボール原紙・製品では、2013年夏季の猛暑需要の反動もあり得よう。こういった状況を鑑み、15年3月期の各社の主要製品販売数量は、前年比横ばいから1桁%台前半の減少を想定している。ただし、営業利益では、14年3月期~15年3月期前半における値上げの通期寄与に伴い、各社で増益を予想。我々が調査対象とする4社の15年3月期合計営業利益は1398億円と、前期比28%増益を予想している。

 なお、主要製品分野のうち、印刷用紙では円安による輸入紙減少を背景に、14年3月期中に2度の値上げを実現させており、需給バランスの急激な悪化がなければ、15年3月期に値上げ効果が通年寄与すると我々は見ている。一方、段ボール原紙・段ボール製品業界では、15年3月期後半から段ボール原紙の増設がある上、段ボール製品のカルテル疑惑に決着がついていないといった価格や需給へのリスク要因が存在する。仮に、段ボール製品の値上げが4~6月期中に実現しない場合には、当該事業の営業利益は前年比横ばいから減益となる可能性もゼロではない。

 中期的には、製紙各社の更なる大幅増益、ひいては利益水準の切り上がりを見込むことは難しいと我々は考えている。印刷用紙の主要各工場は既にフル稼働体制にあり、増産余力は小さい。また、中長期的には内需が頭打ち、ひいてはピークアウトしていくとの見方に変わりはない。情報媒体となる印刷用紙や新聞用紙、情報用紙は、電子化による影響も出てこよう。

 こういった点を鑑みると、安易に価格を引き上げられる状況にもない。段ボール原紙・製品については、印刷用紙のような、電子化の脅威はないものの、中長期的に内需成長を見込むことは難しい。段ボール軽量化に伴い、段ボール原紙段階での実質的な供給能力も需要に対し、余裕が出てきている可能性が高い。