この週末、読売新聞で大変興味深い記事を読んだ。11月29日の夕刊と翌30日の朝刊で、ブラジルのリオデジャネイロで開かれた第3回「児童の性的搾取に反対する世界会議」の模様と考察が伝えられていたのだ。しかも、夕刊は一面トップ、朝刊は第三面のほぼ全面を使って記事を掲載するほどの熱の入れようだった。

 報道の趣旨は、児童買春や児童ポルノを世界的に規制していかなければいけないというものだ。特にその中で日本の規制が遅れている点が問題であるとして強調されていた。

 日本では1999年に施行された児童買春・児童ポルノ禁止法で、児童ポルノの「製造」や「販売(提供)」は禁止されたが、たとえば、個人がインターネットからダウンロードしてパソコンに保管するだけの「所持」や「入手」、あるいはアクセスするだけの「閲覧」に関しては規制が課されていないという。児童ポルノの「単純所持」に関する規制がないのは先進国の中では珍しく、しかも日本のマンガやアニメには児童ポルノが多いので、世界的にも問題視されているという。

 世界会議には140カ国の政府代表や国際機関、非政府間機関(NGO)などの約3000人が参加した。協定自体は、国際条約ではないので、法的な拘束力はないという。1996年にスウェーデンのストックホルムで第一回会議が開かれ、その時には、児童ポルノの8割が日本製だと非難されたらしい。

 「単純所持」を禁止している欧米では、たとえば、児童ポルノサイトの閲覧を制限する「ブロッキング」を導入している国もあるという。法務省は来年度、閲覧制限の実証実験を始めるようで、官民が工夫すれば、「打つ手はあるはずだ」というのが読売夕刊一面のまとめであった。

 個人的に筆者は、児童ポルノや児童買春自体はおぞましいものだと思う。被害者の子供はまず自分がどういう風に商品化されているかに関して正確な認識を持っていないだろうし、その認識を持っていない子供の写真や映像を商品化するのは重大な人権侵害だ。児童買春では、心身の健康や衛生面での被害もある。

 ただ、児童ポルノに限らず、性の商品化問題に関する筆者の率直な考えを述べさせてもらうと、性の被害については、明確な加害者だけを直接規制すべきだと思う。流通の末端にいる、たまたま情報の受け手となった人を規制するのはいかがなものか。