みんなが自分のことをどう思っているのか気にならなくなったとしても、あなたはLINEをやめられないかもしれません。

 それは、なぜでしょうか?

(イラスト=羽賀翔一)

 ちょっと考えてみて下さい。LINEをするようになって、できなくなってしまったことはありませんか?

 たとえば、あなたが「LINEが気になって、勉強できなくなった」と感じているとしましょう。勉強しようと机に向かっても、すぐにLINEを見てしまう。矢継ぎ早にメッセージが届いて、とても勉強なんかできる状態ではない、と。

 これはLINEのせいで勉強できなくなったのではありません。「勉強なんかしたくない」という目的をかなえるために、「ずっとLINEばかり見てしまう」という状況を自分自身でつくり出しているのです。

 もしもそうだとしたら、あなたはLINEが気になっているのではない。

 あなたの望む「目的(勉強したくない)」をかなえるために、ずっとLINEをやっているのかもしれないのです。

【今回のアドラー流ポイント 「原因論」と「目的論」
アドラー心理学では、人は過去の「原因」によって規定されるのではなく、いまの「目的」に沿って生きていると考えます。
たとえば、「子どものころに虐待を受けたから、社会でうまくやっていけない」と考えるのがフロイト的な原因論であるのに対し、アドラー的な目的論では「社会に出て他者と関係を築くのが不安だから、子どものころに虐待を受けた記憶を持ち出す」と説きます。
人はある目的を達成する手段として、不安や恐怖といった「感情」をこしらえる場合があるのです。