(1)核となる産業を創出し、自律的経済を構築

 成長戦略では、各地にある中小企業や農業の6次産業化(第1次産業に加工・流通など2次、3次産業を組み合わせた産業化のこと)に取り組む団体を支援し、それらを地域の成長産業とすることを目指している。その際、行政が無条件に地方の企業や団体を支援するのではなく、地域の金融機関と連携を図ることを支援の条件とすることが盛り込まれた。

 すでに動き出している「地域経済循環創造事業交付金制度」では、地元金融機関などからの支援を受けた農林水産業を含む小規模な事業者が、交付金を活用して新事業に乗り出す例が出始めている。例えば、同制度の支援を受けた青森の海産物製造・販売事業者は、地元の大学や金融機関と連携し、ナマコ加工の過程で生じる廃棄物から有用成分を抽出し、化粧品などの高付加価値商品の原料とする事業をスタートした。国では、初期的な設備投資が円滑に行われれば、同事業は自律的に回り始めると判断し、新たな設備投資資金の一部として交付金を支給した。

 中長期的な地域の自立や雇用の創出のためには、公共事業や大規模工場誘致に過度に依存することなく、大学や地域金融機関との連携のもと、地域固有の資源を生かした産業を生み、育てることが望まれる。成長戦略も、そうした視点からの取り組みが中心となっている。

(2)都市機能の集約とネットワーク化

 成長戦略では、都市機能の集約とネットワーク化を進めることにより、地方都市の機能性、効率性、持続性を高めることを狙っている。すでに、人口減少に合わせ、都市の機能を集約し、公共施設や生活基盤を効率的に再編する「定住自立圏構想」や「地方中枢拠点都市制度」が動きだしている。これらは、人口規模こそ違え、ともに核となる都市を中心に近隣市町村が、医療、福祉、公共交通などの生活基盤を補完し、都市圏全体の経済活力や住民福祉の水準を引き上げることを目指している点では、同じ発想の政策である。

 こうした都市機能の集約とネットワーク化の取り組みは、医師確保に困窮し、赤字が膨らんでいる公的な医療機関で先行している。青森県のつがる西北五広域連合では、連合を構成する自治体(五所川原市、つがる市、中泊町、鶴田町、鰺ヶ沢町)が抱えていた5病院を、一つの医療機関として経営統合し、一つの中核病院と4つのサテライト病院・診療所に再編した。再編の過程で、弘前大学医学部との連携による医師不足の解消、医療機関全体での薬の集中調達、電子カルテを基盤とする地域医療連携ネットワークの再構築が達成された。

 成長戦略は、こうした医療の事例に限らず、あらゆる都市機能において、集約とネットワーク化により、効率的で持続性の高い都市づくりを目指している。