いずれにしても、冬期講習会までに進学先が決まってしまうのだ。2月までの月謝をとれるわけでもない。しかもこのAO・推薦入試が年々増えていく。

 一般入試も少子化の影響をまともに受けた。不況の長期化で、浪人はしない「現役志向」、学費が安い「国公立大志望」、下宿代がかからない「地元志向」である。地方の私大文系は想像以上に全入化が進んでいるから、余計に予備校や塾には通わなくなっている。私大文系を狙う層は、暗記中心で高校の定期試験を乗り切るようなタイプの生徒でもあり、そもそも学習意欲が旺盛とは言い難い層なのだ。

法人事務局のある代々木駅前の本部校

 モチベーションがないところに予備校や塾のニーズはない。つまり、学校側が努力しても生徒募集は至難である。代ゼミもいろいろな手を打ったことだろうが、募集が改善されることはなかった。代ゼミの募集状況は、14年度になって急に悪くなったわけではない。これまでは、地元の高校や受験生の代ゼミへの期待などに鑑みて、耐えに耐えてきたのだろう。

 14年度入試は18歳人口が減少する年であり、15年度に数学、理科で新課程が導入されることもあって現役志向が強く、浪人する生徒は少なかったはずだ。15年度は18歳人口が一時的に増えるが、浪人は翌年に全教科が新課程に移行するため安全志向で減る。16年度からは再び18歳人口減である。17年度には若干増えるものの、18年度から先は減り続けることになる。

 こうした人口動態に鑑みたときに、果たして生徒募集が改善されると誰が思うだろうか。

当然の帰結としての大学模試からの撤退

 これまで3つの撤退戦について触れたが、代ゼミは、大学受験の模擬試験やセンター試験の自己採点システムからも撤退する。この判断は実に正しいと思う。

 1955年、国内初の集団模試として「旺文社模試」が始まった。72年に河合塾が「全統模試」を開始し、福武書店(現・ベネッセコーポレーション)の「進研模試」や代ゼミのさまざまな模試の総称である「代ゼミ模試」がそれに続く。こうした後発の模試に押されて、いつしか旺文社模試は消えて行った。

 河合塾の全統模試、ベネッセコーポレーションの進研模試という2大模試に押されて、代ゼミは一時期、全統模試の10分の1の受験生しか集められなくなっていた。その程度の母集団であればトップ層はまずいない。最近では、世界史の成績優秀者がある都立高校だけで半数が埋まったこともあったという。傘下に収めたサピックスの模擬試験とは比較にならないほど貧相な母集団である。こうした信頼性の乏しい状況に、高宮副理事長は模試からの撤退を即決したそうだ。