株価は16日終値で44万4000円。サブプライム問題のあおりを受けて、過去1年の推移で見れば半値程度に落ち込んでしまっている(上のチャート参照)。4月に入ってやや持ち直しているものの、完全な上昇気流に乗ったとはいいがたい。

 目下、みずほ株をめぐる投機家の思惑は激しく交錯している。本誌が書店に並ぶ21日あたりから、再び株価下落に転じる可能性は皆無ではない。

 もっとも、本当に怖いのは、じつは転換価格の値決めが終わる6月以降なのである。というのも、この優先株には「転換価格の下方修正条項」が付いているからだ。

 いささか込み入った話なので、順を追って説明しよう。「転換価格の下方修正」は、60%を下限として年1回実施される。仮に、この6月に転換価格が1株40万円で決まったとする。その後、株価が40万円の60%、つまり24万円まで下がったとしても、優先株の保有者は24万円で普通株に転換できる仕組みだ。

 優先株を保有しているヘッジファンドにしてみれば、この下方修正条項はうまみたっぷり。来年の転換価格見直しのタイミングで株価上昇局面になければ、再び24万円(当初の転換価格が40万円の場合)まで株価を売り下げるオペレーションに動くのは、まず間違いない。

 下方修正条項によって転換価格が下がるほど、潜在株式数は増える。転換価格40万円ですべて普通株に転換されたとしても、発行済み株式総数は現在の1139万株から1374万株へ約2割強も増えるのだ。

 まして転換価格が40万円以下に下がれば、ダイリューション(1株当たり利益の希薄化)は2割強ではすまない。成熟産業の銀行に純利益を2割も3割も増やす方策などそうそうないから、株価はさらに下落する。

 みずほが打てる対策は、自社株買いか増配だけだ。前年度に続き、今年度も1000億円単位の自社株買いを余儀なくされそうだが、それで投機筋の売り攻勢をかわせるか。

 みずほ株が下がれば、銀行株が下がり、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に飛び火する。みずほに責任があるわけではないのだが、1兆円増資の後始末ともいえる優先株の普通株転換は、株式市場ひいては日本経済の厄介事になりかねない。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 藤井一)