さりげないジェスチャーで選ばせたい対象を強調
こうした言葉によるマーキングのほかに、ジェスチャーによるマーキングもあります。
メンタリストのDaiGoさんがよくやるパフォーマンスに、「好きな色のボールを選んでください」というものがあります。テレビなどで目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
これは、相手が選んだ色を当てているように見えて、実はDaiGoさんが決めた色を選ぶように誘導しているのです。
基本的に、人はその日に着ている洋服の色を選びやすいので、「赤」の洋服を着ていたら「赤」のボールを選ぶようマーキングしていきます。
「赤」を選ばせたいなら、ボールを並べたときに「赤」のボールだけ触ったり持ち上げたりする、あるいは「赤」のボールだけ触らない、というようにタッチングによるマーキングで潜在意識に「赤」を刷り込んでいきます。
これでほぼ人は「赤」を選ぶのですが、なかには「裏をかいて青を選んでやろう」という人もいます。そういう相手に対抗し、確実に「赤」を選ばせたいときは、「赤が好きなら赤を選んでもいいですし、あえて緑を選んでもいいです。でも僕だったら青を選ぶかもしれないですけどね」と、プレッシャーをかける言葉かけを組み合わせていきます。
プレッシャーを受けると、人の思考や行動は単純化し、理性的に物を考えられなくなります。この場合は、選択肢をいろいろ提示されたことで、どれを選ぶべきか判断がつかなくなり、「それじゃあ、最初に思っていたとおり、赤でいいや」と誘導されていくのです。
これは、商談やプレゼン、販売などでも応用できます。A、B、Cと3案の企画書があってBを選んでほしいなら、Bをさりげなくマーキングしていきます。Bの企画書だけに触ったり、前に出したり、持ち上げたりするほか、Bに触ったあと、相手の目を見て戻すのも効果的です。
ゴルディロックス効果を使って売りたいものを選ばせる
ホスト時代、私は学んでいた行動心理学を活用して、こんな実験をしてみました。次の2つを並べて勧めたとき、お客さまがどちらを選ぶか調べてみたのです。
・白のドンペリ 5万円
・ピンクのドンペリ 10万円
すると、こうした二者択一の場合には、安いほうの5万円の白のドンペリを選ぶ人が圧倒的多数でした。ところが、3つから選ぶとなると、お客さまは違う選択をし始めました。