そう考えているのは、おそらく、筆者だけではない。11月18日の部会では、厚労省の事務局が提出した資料に対し、委員たちから数多くの疑問や疑念が発せられた。その資料の中では作業班の集計結果も使用されているのであるが、「何のために何と何を比べているのか」さえ明確でない比較が多いのだ。

 それでも、議論が取りまとめに向かうことは間違いなさそうだ。今回の基準部会の終わりに、部会長の駒村康平氏(慶応義塾大学教授・経済学)が、

「(委員たちからの重要な指摘や必要な議論を踏まえて)取りまとめの議論へ」

 と述べたからだ(以下とも、委員発言は筆者のメモによる。議事録は未公開)。

 筆者は「マジぃ!?」と絶叫しそうになった。「何らかの結論を出すにはアレとコレとソレが足りないので、今回は具体的な金額の見直しにつながる結論までは出せない」という取りまとめなら、まだ納得できるのであるが……。

冬季加算は本当に
必要なはずの光熱費より「3000円高い」のか?

 今回の基準部会では、最初に住宅扶助に関する事務局からの資料説明と委員たちによる議論が行われ、ついで冬季加算について同様の進行となった。しかし現在は冬季加算が焦点となっているため、今回は冬季加算を中心として資料・議論の内容を紹介したい。

 まず、NHKが

「所得の低い世帯の暖房費より1か月当たりの平均で3000円余り上回っている」

 と報道した内容は、厚労省作成の資料にはどのように記載されているだろうか?

 この内容は、厚労省社会・援護局保護課が作成した資料「生活保護基準部会検討作業班における作業について(冬季加算関係)」の12ページに、「検証(7)(地区別の冬季加算の水準の妥当性について)」としてまとめられている。この上部に、「現行の冬季加算地区区分」としてまとめられた表がある。ここで最下部の「合計」を見ると、2人以上世帯において、12月~4月の光熱費支出と5月~11月の光熱費支出額の差は、1ヵ月平均で

年間収入第1・十分位(下位10%・生活保護世帯を含む) 5783円
年間収入第1・五分位(下位20%・生活保護世帯を含む) 6040円
年間収入第1~3・五分位(下位60%・生活保護世帯を含む) 6539円

 となっている。対して冬季加算は、

冬季加算額 9067円

 である。もしもこの比較が妥当なものであれば、現行の冬季加算額は必要と考えられる額に比べて3000円程度高いことになる。

生活保護世帯の冬の暖房費、本当に3000円多い?<br />「ざっくり」すぎる冬季加算見直しの議論「生活保護基準部会検討作業班における作業について(冬季加算関係)」の12ページに記された「現行の冬季加算地域区分」の表
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