「顧客満足と利益をあげる」仕組みを
社員1人ひとりが考え、行動する

(2)ビジネスモデルと組織マネジメント
 もう一つの「ビジネスモデル2.0」は、一言で言えば「組織論」まで考える仕組み。経営者レベルで考えて完結するのではなく、それを従業員に的確に伝え、自立的に考えさせ、行動させるようにする仕組みを指します
 ビジネスモデルは絵に描いた餅ではなく、本来、実行プロセスまで伴うものです。どうやったら「顧客満足と利益を同時獲得できるのか」を経営者レベルではなく、従業員が自立的に考える必要がある。
 つまり、従業員も自社のビジネスのあり方を経営者と同じレベルで知っておかなければならないのです。
 それを実践していたのが、星野リゾートの星野佳路氏です。
 星野リゾートのビジネスモデルの定義は、「顧客満足と利益を両立させるために、従業員が正しく判断できるようにする仕組み」。それが最も端的に現れているのが「価値保証」です。星野リゾートが運営に携わるアルツ磐梯スキー場では、おいしさ保証付きカレーや上達保証付きレッスンを展開しています。
 価値保証は、顧客への販促キャンペーンとして行っているのではなく、従業員一人ひとりに「サービスの質」とは何かを自覚させるために行っているのが最大のポイントです。
現場スタッフが「顧客に満足を与えながら、利益をあげる」仕組みを理解し、そのためにどうすればいいのか考えて実行する。まさに「ビジネスモデル2.0」そのものです。
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 大手企業が苦境に立たされ、チャレンジャー企業が目覚ましい活躍を遂げている転換期の昨今。日本企業がより成果を生むために、各々の企業が自社にとって正しい「顧客満足」は何か、「利益」をどのように生むことが正解かを明確にする「ビジネスモデル思考法」が発展していくことを期待しています。                               (完)