ビジネスモデルを一言で言えば、「儲ける仕組み」。本連載ではその概要をお伝えし、実際に企業がどのように実践しているのか、星野リゾートの星野佳路氏、ゼビオ株式会社の諸橋友良氏に登場いただき詳しく教えてもらった。
今回は本連載を締めくくるにあたって、ビジネスモデルのまとめと新たな展開について考えていく。

ビジネスモデルの3つの用途

川上昌直(かわかみ・まさなお) 兵庫県立大学経営学部教授 博士(経営学) 1974 年大阪府出身。 01 年神戸商科大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。 同年、福島大学経済学部助教授(呼称変更により准教授)に就任。 08 年兵庫県立大学経営学部准教授を経て、12 年より現職。 初の単独著書『ビジネスモデルのグランドデザイン 顧客価値と利益の共創』(中央経済社)は、13 年に日本公認会計士協会・第41回学術賞(MCS賞)に。 著書に『儲ける仕組みをつくるフレームワークの教科書』『課金ポイントを変える 利益モデルの方程式』(以上、かんき出版)『まず、のび太を探そう!』(翔泳社)など。 http://wtp-profit.com

 ビジネスモデルは、「顧客に満足を与え、企業に利益をもたらす仕組み」です。
 ビジネスモデルの用途は、3つあります。第1回目でお伝えしましたが、ここで簡単ですがおさらいします。

(1)とっさのアイディアを整理できる
 パっとひらめいたアイデアや衝動があったとき、その場で形にできるようにしたのがビジネスモデルです。ビジネスモデル思考法を習得すれば、世の中にある様々なプロダクトやサービスと会社が持つ技術やサービスなどがリンクしたとき、ビジネスモデルとして瞬時に落とし込むことができ、新しいビジネスを誕生させることも可能になります。

(2)コミュニケーションツールになる
新しいビジネスのネタがどんなに素晴らしくても、資本を集めなければなりません。ビジネスモデルを構築し明確に提示できれば、投資家や融資先にどんなソリューションを提供するのか、どうやって利益を生み出すのかなどを説明するのが容易になります。つまり、強力なコミュニケーションツールになります。従業員への説明にも威力を発揮します。

(3)ビジネスの整理棚になる
 ビジネスモデルというモノサシを導入すれば、既存ビジネスを変革できます。そのためには、今のビジネスをまずは整理する必要があります。
 ビジネスモデルは、いわばモノがあふれて散らかった部屋のような状態。それを、ビジネスモデルという名の整理名人がやってきて、棚を作ってキレイに収納してくれます。