ラーメン店が出火!
逆境から「昨年対比125%」にした秘密
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……え? 火災にあったのですか?
賀川 火災に巻き込まれたのは、1年前にオープンしたラーメンショップでした。出火原因は、テナントビルの配線ミスです。「店が燃えた」と聞いたときは、3秒くらい頭が真っ白になりましたけど、4秒後に気持ちが切り替わっていました。僕は、逆境になると燃えるタイプ。店も燃えているけど、僕もめっちゃ燃えていましたね(笑)。すぐに、営業再開までの段取りをシミュレーションしたんです。
小山 賀川会長にとって、逆境は、いままでのやり方を「捨てる」チャンスであり、新たなことに挑戦できるチャンスです。危機一髪の状況に追い込まれても、自分を信じて、最後の最後のまた最後、そのまた最後まで努力をする。そうすれば、必ず道は見つかります。
賀川 火災に巻き込まれたラーメンショップは、利益がトントンだったんです。だったらこれを機に、一度リセットしてやり直せばいいかなと……。店が新しくなるまでの間に、社員には環境整備を覚えさせればいい。そう思ったんですね。
……そして、見事に復活したわけですね。
賀川 昨対比で言うと125%。過去最高の数字が出ています。右肩上がりで伸びているのは、「環境整備」のおかげですね。僕はそれまで飲食店をやったことがなかった。でも、「環境整備」があった。携帯ショップで成功できたのも、「環境整備」があったから。だったら、ラーメン屋にも取り入れればいい。余計なことはしないで「環境整備」だけをやればいい。そう思ったんです。
小山 私から見ても、ラーメンショップに「環境整備」を導入したことで、社員の士気が変わったと思います。「環境整備」を通じて、同じ職場で働く人間同士が心を通わせ、一体感をもたらした。その結果、社員のやる気の火がついたんです。
【朝一番の掃除=環境整備のポイント】
●「決められたテリトリーを、毎日、コツコツと、みんなで磨く」というプロセスによって、組織の素地や土台や根幹ができ上がる
●「環境整備」を通じて、同じ職場で働く人間同士が心を通わせることができる
小山 昇(こやま・のぼる)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年生まれ。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を優良企業に育て、「12年連続増収増益」を達成。日本で初めて、「日本経営品質賞」を二度受賞(2000年度、2010年度)。2001年から同社の経営のしくみを紹介する「経営サポート事業」を展開し、業種横断的に500社以上の会員企業を指導。指導企業のうち、「5社に1社は過去最高益」「13年連続倒産企業ゼロ」を達成。
2004年から「1日30万円のかばん持ち」制度を創設。小山昇のかばん持ちをすることで、現場で体感する経営者を日々育成中。現在、約70社・1年半待ちの人気ぶり。
そのほか、「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回の講演・セミナーを開催。現場の叡智が詰まった内容は、全国各地から「今日から仕事に役立つ」と現場見学会参加者があとをたたない。机上の空論は一切なし!実務中心の内容が口コミを呼んでいる。おもな著書に、『強い会社の教科書』『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』(以上、ダイヤモンド社)、『無担保で16億円借りる小山昇の“実践”銀行交渉術』(あさ出版)、『増補改訂版 仕事ができる人の心得』(CCCメディアハウス)など多数。