1月に北海道の老舗百貨店・丸井今井が倒産し、当然、それまで資本・人的つながりのある伊勢丹がスポンサーになるものと見られていました。ところがどっこい、伊勢丹が躊躇したスキついて、高島屋がスポンサーとして名乗りを上げました。
そこには、「北海道という局地戦だけに留まらない、大手百貨店同士の覇権争いの始まりである」と見る向きが少なくありません。
両社はこの後、大阪でも激突します。今回の特集では、両社の丸井今井争奪戦攻防の内幕を詳細にリポートすると同時に、その背景を探りました。
週刊ダイヤモンドが百貨店特集を組むのは、ちょうど2年ぶりです。前回の特集では、大丸と松坂屋の経営統合は公表されていましたが、まだまだ“群雄割拠”の時代でした。
それからわずか2年のうちに、三越伊勢丹ホールディングスが誕生し、高島屋とH2Oリテイリング(阪急阪神百貨店の持ち株会社)が、将来の統合を公表しました。百貨店業界は群雄割拠の時代から、「4メガ百貨店」を軸としたグループに収斂されつつあります。
今回は、再編で複雑になった百貨店業界の様子が一目で分かる見開きマップを入れました。どの百貨店同士が統合したか、さらに全国各地における勢力図が一目瞭然です。
とはいえ、高島屋とH2Oの統合まであと2年。「ホントに統合するのか!?」という観測が業界内には根強くあります。高島屋の鈴木弘治社長とH2Oの椙岡俊一会長に両トップにインタビュー、真意のほどを確認しています。
百貨店業界は、目下激しい売上高減に見舞われています。市場の縮小に後押しされて、統合再編が相次ぎました。さらに枠組みだけでなく、店舗戦略にも違いが出てきました。
三越伊勢丹は池袋三越を売却して、銀座三越の増床に乗り出しました。そこでは新しい取り組みに挑戦します。J.フロントリテイリング(大丸と松坂屋)は、無印良品や紳士服のはるやま商事を導入するなど、従来の百貨店テナントにこだわらなくなっています。
この先、百貨店市場はますます縮小することが予見されます。今後、どこが消費者の支持を得て勢力を伸ばすのか? 百貨店業界を知れば、買い物もさらに楽しくなること、間違いなしです。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 須賀彩子)