タイガー・ウッズの才能は、
どこまでが遺伝子のおかげなのか?
――執筆された『双子の遺伝子』は、遺伝子検査を信じきっている人には警告本として役に立ちますね。
一卵性双生児は自然による究極の人体実験なので、この研究から多くの教訓を得ることができます。一卵性双生児の1人が病気になり、もう1人が同じ病気になる確率は3分の1以下です。ただ自閉症はかなり遺伝に影響されることがわかっています。
――数学的思考は遺伝の要素が強いと言われています。
一卵性双生児の研究でそれはわかっています。非常に遺伝的要素が強い。2人とも同じようなレベルであることがわかっています。
遺伝的な要素と動機、そして長年にわたる訓練の3つの要素がうまく組み合わさらないとトップにはなれません。ゴルフであろうとチェスであろうと、ミュージシャンであろうと、この要素がすべて必要です。
絶対音感もかなり遺伝の影響が強く、まったく楽器に触れたことがない人でも絶対音感を持っている人がいますが、明らかに遺伝です。楽器を持ったことがなく、もちろん使ったことがない人です。
――ゴルフプレイヤーというと、本ではタイガー・ウッズについても触れていますね。
タイガー・ウッズは、興味深いケースです。彼は個人的な問題のために一度「失脚」したことがありますが、誰もがウッズにはすごい才能があると思っています。でも2歳でゴルフを始め、父がプロのコーチでその訓練を吸収するだけの性格があれば、誰もがウッズレベルのプロになれると主張することができます。でも自分の息子にはそういう性格がないので、上達しないと主張することもできるでしょう。
今世界一であるローリー・マキロイもタイガー・ウッズと同じストーリーです。父がコーチで、2歳からゴルフをやっています。ベビーベッドの中で寝ているときも中にゴルフクラブが入っていて、そのクラブを握りながら眠りについたと言われています。こういう話を聞くと、人生の成功でより重要なことはトレーニングと動機であることがよくわかります。それをうまく結合させることが、より重要であることです。
――タイガー・ウッズは今言われた個人的な問題、つまり女性問題がありましたが、それについてはいかがでしょう。
一卵性双生児の研究で、性的欲望は遺伝的要素が強いことがわかっています。性的に乱れる傾向にある人もいれば、慎重な人もいます。そして明らかにウッズのような極端な例もあります。もちろん、彼が億万長者であることも加担しているとは思いますが。私が言えるのは、彼の好みとか性的傾向は遺伝的要素が強いということです。