「これ」が社内でアナタの立場を悪くする！「政治力」を手にする人が絶対しないこと

「信頼」を貯金した者が、
長期的には優位に立つ

高城幸司（たかぎ・こうじ）株式会社セレブレイン代表。1964年生まれ。同志社大学卒業後、リクルート入社。リクルートで6年間連続トップセールスに輝き、「伝説のトップセールスマン」として社内外から注目される。そのセールス手法をまとめた『営業マンは心理学者』（ＰＨＰ研究所）は、10万部を超えるベストセラーとなった。その後、情報誌『アントレ』の立ち上げに関わり、事業部長、編集長、転職事業の事業部長などを歴任。2005年、リクルート退社。人事戦略コンサルティング会社「セレブレイン」を創業。企業の人事評価制度の構築・人材育成・人材紹介などの事業を展開している。そのなかで、数多くの会社の社内政治の動向や、そのなかで働く管理職の本音を取材してきた。『上司につける薬』（講談社）、『新しい管理職のルール』（ダイヤモンド社）、『仕事の9割は世間話』（日経プレミアシリーズ）など著書多数。職場での“リアルな悩み”に答える、ダイヤモンド・オンラインの連載「イマドキ職場のギャップ解消法」は、常に高ＰＶをはじき出している。

では、信頼を勝ち取るためには、どうすればいいのでしょうか？

答えはシンプルです。
誠実であること、これ以外にありません。

「礼儀正しくする」「謙虚である」「ウソをつかない」「約束やルールを守る」「誰とでもわけへだてなく接する」「人によって態度を変えない」「人の話に素直に耳を傾ける」「間違ったときには謝る」……。こうした、幼稚園のときから学んできた、人としての基本を忠実に守り続けることです。

また、ビジネスマンとしての「誠実さ」もあります。すべてのビジネスマンは、顧客のニーズに応えることで、社会と調和しながら、会社に貢献することが求められています。これが、あらゆる仕事の基本です。この基本を誠実に守り続けることが、ビジネスマンとしてのあなたの信頼を形づくるのです。

日頃、あらゆる場面において、人として、そしてビジネスマンとして、誠実な対応を続けることによって、周囲の人からの信頼を貯金していくほかありません。その貯金量が、あなたの政治力のインフラの強度そのものなのです。

誰だって、仕事をしていれば失敗することもあります。そして、失敗をすれば信頼は傷つきます。そんなときに、あなたを守ってくれるのは「信頼の貯金」です。貯金量が多ければ、一回の失敗で信頼が底をつくことはないでしょう。致命的な失敗でなければ、迷惑をこうむった周囲の人々も許してくれるに違いありません。もしも、社内であなたを問題視する勢力がいたとしても、あなたに信頼を寄せる人々が対抗勢力になってくれるはずです。

しかし、日頃、不誠実な生き方をしていれば、「やっぱり、あの人はダメだね」という烙印を周囲に押されてしまうでしょう。こうなれば、万事休す。社内的な立場は崩壊してしまうことになります。

また、社内政治は綺麗ごとだけでは済みません。
ときには、敵をつくらざるを得ないような局面もあります。一部の人から、後ろ指をさされるような立場に立たざるをえないこともあるかもしれません。誠実と不誠実のギリギリの判断を迫られることもあるでしょう。

そうした場面で、あなたを守るのも「信頼の貯金」です。敵対した人物の「信頼の貯金」が、あなたの「信頼の貯金」より少なければ、周囲の人々はあなたを支持してくれる可能性が高いでしょう。一方、あなたの「信頼の貯金」が少なければ、敵対した人物は巧みに周囲を味方につけて、あなたを不利な状況に追いつめるに違いありません。

だから、社内政治を生き抜くには、まず何よりも誠実に生きることに徹することです。誠実にやっていれば、うまく立ち回る人物に苦い思いをさせられることもあるかもしれません。しかし、その人物の真価は「時」が証明してくれます。目先のことに惑わされることなく、まずは日ごろから「信頼の貯金」を貯めることを最優先にすることです。「政治力」のある人は、必ず莫大な「信頼の貯金」をためています。そのため、「うまく立ち回る」ようなことは絶対にしないのです。

社内政治は長期戦です。
しっかりとした政治力のインフラをつくった者が、長期的には勝つのです。