「お金が一番大切」と考える高校生たち
前回の 第102講 子どもの発想力・自立心の鍛え方(4)「貧乏」にする(続)~だから3代目でつぶれる? は、DOL読者にも多数おられるであろうジジババ・オジオバ向けのお正月記事でした。みなさん、お年玉の見直しはされましたか? そして親のみなさん、お年玉の使用額制限などはされましたか?
月々のお小遣いの数十ヵ月分に相当するお年玉をどうするかで、その子の金銭感覚は決まります。今年ダメでも来年こそは!
さて先々回・先回と、金融広報中央委員会による2010年度調査、「子どものくらしとお金に関する調査(第2回)」を参考にしました。全国376校から68773名の小中高校生が回答した大規模サーベイです。その第4章「お金についての意識、金融経済の知識、知識と行動等」のデータを並べ直してみたら、不思議な傾向が見つかりました。
(1)「お金より大事なものがある」、(2)「お金が一番大切」、(3)「お金持ちはかっこいい」の3つの問いに対して、(1)は小学高学年をピークとした「への字カーブ」を、(2)(3)は同じく小学高学年をボトムとした「V字カーブ」を描いているのです。
たとえば、(2)「お金が一番大切」を見てみましょう。オトナの言葉ではこれを「拝金主義」といいますが、そうした拝金主義者の比率が小学低学年で4人中1人(24%)です。それが小学高学年では9人中1人(11%)にまで激減します。ところがそれが中学生では4人中1人(26%)に戻り、高校生では3人中1人以上(36%)に激増するのです。これはオトナ(4割程度)とほぼ同じ水準です。
これらの傾向は、2005年度に行われた第1回調査でもほとんど変わりません。これらは世代(出生年コホート)でなく、年代(現年齢)による傾向なのです。
つまり、日本人の全年代において、小学高学年こそがいつも、もっとも拝金主義から遠く、「お金より大事なもの」を自覚している年代だということになります。