メガバンクが今夏から役員賞与を復活させている。

 三井住友フィナンシャルグループは今年6月に役員賞与を支給した。支払額は1人平均680万円。旧住友銀行では16年ぶり、旧さくら銀行では13年ぶりの復活となった。

 三菱UFJフィナンシャル・グループでも、旧三菱銀行、旧東京銀行、旧三和銀行、旧東海銀行以来、13年ぶりの支給となる。実際の役員賞与額は不明だが、1人当たり平均で1714万円を上限に役員賞与を支払うことが、6月末の株主総会で承認された。

 一方、2008年3月期に6450億円ものサブプライム関連損失を計上したみずほフィナンシャルグループでは支給を見送った。

 なお、りそなホールディングスは2003年3月の発足時から役員賞与を廃止。いまだに公的資金が残る中央三井トラスト・ホールディングスも役員賞与は支払われていない。

 大手6行のなかでは、いち早く公的資金を完済した住友信託銀行のみが2004年夏に役員賞与を復活させていた。

 バブル崩壊後、住宅金融専門会社(住専)などの不良債権償却による赤字転落や高給批判などもあり、大手銀行は1996年夏までに役員賞与を全額返上した。その後、大手各行共に国から公的資金の注入を受けたこともあり、役員賞与を再開することは難しかった。

 2006年には3メガバンクがようやく公的資金を全額返済したものの、国民の税金である公的資金の注入に支えられて2006年3月期に史上最高益を計上したことで、「儲け過ぎ」批判が高まった。

 また、過去の不良債権処理による巨額の赤字決算により税務上の欠損金を抱えることから、住信を除けば、法人税を払っていないことも、批判に追い打ちをかけた。

 今回、役員賞与を復活した理由について、「3期連続の黒字決算など、一定の安定業績を上げられる状況になったため」(三井住友FG)などとしている。

 3メガバンクは2006年に政治献金の復活を決めた際も、顧客への利益還元などをめぐり、世論の批判を浴びた。いまだ、大手銀行には顧客や株主への利益還元が不十分との指摘があるのも事実。今後の対応次第では、役員賞与の復活に批判が集まる可能性もある。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 松本裕樹)