日常の些細なお買い物でも
積もればかなりの金額に
日常にも目を向けてみましょう。
日頃、娘や息子に忙しくて相手にされない親世代は、店員さんに丁寧に話を聞いてもらい、親切にしてもらうと、つい買ってしまうということもあります。「まとめて買うとお得です」なんて言われると、昔の大家族だった時代の感覚に戻ってしまい、ついつい買ってしまうのです。
今は持てないほど買い物しても、一定金額を超えると送料無料の宅配便で送ってくれるサービスもあります。そのせいでついつい、送料サービスになる金額まで買い込んでしまうのも、親世代の特徴です。家に届いた、親が持てないほど重たい宅配便の段ボールは、もともと不要な物。結果的には開封すらされず、そのまま玄関に何年も置きっぱなしになる、なんてことはめずらしいケースではありません。
また、物が少なかった親世代にとって、100円均一ショップはパラダイス。多少、無駄な物を買っても、「安かったから」という言い訳ができます。
以前片づけにお伺いしたお宅のケースでも、クローゼットと洋服ダンスを整理した後、お母様が「私はこんなに同じような洋服ばかり買っていたのか」と目を丸くされていました。
ひとつひとつは些細なことかもしれませんし、金額もさほど気にならないかもしれません。しかし、これが何年、何十年と続くことを考えたら……。見なかったことにする、というレベルの話ではなくなってしまいます。
こうやって日々溜まっていく実家の物たちが、ゆくゆくは遺産整理の苦労となって子ども世代にまわってくるのです。
一見、何の関係もなさそうにみえた「片づけ」と「お金」の問題の重要性がここに潜んでいるのです。