昨年末からの食品への異物混入騒動はクレーム対応のあり方を考えるうえで格好の“教材”だ。「他社はどうしているか」という横並び意識、現場に責任を押しつける“逃げ”の姿勢がないか、クレームに対する組織対応をしっかり見直してほしい。(取材・構成 メディアポート)
「他社はどうしているのか?」が最大の関心事に
まるか食品の『ペヤング』から日本マクドナルド、さらにさまざまな食品関連企業に飛び火した異物混入騒動は、クレーム対応のあり方を考えるうえで格好の“教材”である。
たとえば、前回紹介した「正論モンスター」の増加には留意が必要だが、それだけでない。クレームへの「組織対応」を見直す手掛かりにもしてほしい。
日本マクドナルドにおける異物混入が騒がれ始めてまもなく、ライバル社の社員から「当社では従業員教育をしっかり行っています」と、挑発的ともとれる発言が聞かれた。
日頃から激しい競争にさらされている外食産業では、競合相手の“ピンチ”が自社の“チャンス”になりうる。それだけに「生き馬の目を抜く」シェア争いがあっても不思議ではないだろう。
ところがその一方で、今回のように騒ぎが大きくなると、業界の雰囲気は一変する。「他社はどうしているのか?」――これが、最大の関心事だ。つまり、横並び意識である。「食品への異物混入はゼロにはならない」という現実を前に、企業は有効な手を打てないのである。
1年前を思い出してほしい。食品偽装表示の大騒ぎである。阪急阪神ホテルズの食材偽装を皮切りに、食品関連企業の偽装・誤表示が次々と露見し、毎日のように企業の「謝罪会見」が開かれた。
しかしこのとき、企業側は心から謝罪していたのだろうか? 「マスコミに嗅ぎつけられる前に公表したほうが得策だろう」という思惑があったのではないだろうか? 「見つかったのは、運が悪かった」というのが本音だったのかもしれない。これでは、「異物混入を絶対に許さない」などという「消費者の狭量」を批判することはできない。