本日のテーマは、「トップセールスたちがマーケットをどのように見ているか」です。「モノが売れない」と言われていても、彼らは確実に結果を出します。その理由は、「マーケットで何が起こり、そして何が求められているか」を熟知しているからです。

モノが売れない理由を
「市場」から読み解く

 成熟した市場には、購入を思い止まらせる2つの要素があります。さっそく見ていきましょう。

(1)強い競合他社が存在する
 通信、自動車、ビール業界などの成熟した市場(業界)では、寡占状態に陥っています。競争に勝ち残った少数の企業が、生産や販売市場を支配しているのです。

 大手も、中小も、零細も入り交じった玉石混淆の市場ではなく、ある程度のスケール感を持つ数社が存在しています。お客さまから見たら、「A社もいいけど、B社も、C社も、いい」と映り、どれを選んでも大差ない状態になっています。各社が横並びに近い状態だと、消費者には違いがわかりにくいため、購買意欲も高まりません。

(2)基本ニーズが満たされている
 人は、購入に対する緊急度が低いと、なかなか購入に踏み切らないものです。たとえば、自家用車をすでに所有している人は、そう頻繁に買い換えることはないでしょう。ニーズの緊急度が低いからです。

 心理的には「大きなトラブルもないので、このまま乗り続けることもできる」「すぐに欲しいわけではないし、いま買う理由もない」と考えて、先送りにするわけです。