マスメディアのクリエイティブを
事前にネットメディアの広告でA/Bテストした事例を初公開

 では証明しよう。せっかくなので、概念ではなく、実際の私の某クライアント(健康食品)の通販部署が、マスメディア(オフライン)のクリエイティブにおいて上記の方法で行った、マスメディア(オフライン)クリエイティブを事前にネットメディア(オンライン)の広告で【A/Bテスト】したときの驚きの【結果】、つまり【ケーススタディ】をみなさんに初公開する。

 これは私の通販クライアントが、2011年の某健康食品の広告キャンペーンを「テレビインフォマーシャルのクリエイティブを、会議室で適当に選定して広告キャンペーンを実施したパターン」と、翌2012年にまったく同じ商品で、同じくらいの時期で今度は、「テレビCMの複数のクリエイティブを、事前にネットメディア(オンライン)の広告で【A/Bテスト】して、一番効果が高かったクリエイティブを使い広告キャンペーンを実施したパターン」である。

 テレビインフォマーシャルの媒体予算も投下量(本数)もほぼ同じだった。

【ケーススタディ:その1】

●テレビインフォマーシャルのクリエイティブを、会議室で適当に選定して、広告キャンペーンを実施したパターン……

●実施時期:2011年冬

●テレビインフォマーシャルの複数のクリエイティブを、
事前にネットメディア(オンライン)の広告で【A/Bテスト】して、
一番効果が高かったクリエイティブを使い、広告キャンペーンを実施したパターン

●実施時期:2012年冬

※クライアント名がバレないように、若干数値を調整済

 ご覧のとおり、2011年の「テレビインフォマーシャルのクリエイティブを、会議室で適当に選定し、広告キャンペーンを実施したパターン」は、大量の本数のインフォマーシャルをテレビ媒体で投下しても、レスポンス(フリーダイヤルへの電話)はあまりなかった……。
 つまり、商品があまり売れず、広告効果があまりなかったのだ……。

 一方、翌2012年の「テレビインフォマーシャルの複数のクリエイティブを、事前にネットメディア(オンライン)の広告で【A/Bテスト】して、一番効果が高かったクリエイティブを使い広告キャンペーンを実施したパターン」は、ほぼ同じ本数のインフォマーシャルをテレビ媒体で投下したのだが、広告投下量に比例し、なんとレスポンス(フリーダイヤルへの電話)が約4~5倍上がったのだ。商品が約4~5倍売れ、広告効果が劇的に上がった。

 つまり、事前にネットメディア(オンライン)の広告でインフォマーシャルのクリエイティブの【A/Bテスト】をして、申込率(コンバージョン率)を指標に一番効果の高いクリエイティブを判断。それをテレビなどのマスメディアでそのまま使うと、広告キャンペーンが最大化されることが証明されたのである!

 ここで、あなたにもう1つケーススタディをご紹介しよう。

 今度は、私の超大手メーカー系のクライアントの宣伝部署、つまり、イメージやブランディングを目的にしている会社だ。ネットで商品を販売しておらず、店舗販売のみの会社のケーススタディとなる。

 2012年、某飲料の広告キャンペーンを「テレビCMのクリエイティブを、会議室で適当に選定し、広告キャンペーンを実施したパターン」と、翌2013年に、まったく同じ商品で、同じくらいの時期で今度は「テレビCMの複数のクリエイティブを、事前にネットメディア(オンライン)の広告で【A/Bテスト】して、一番効果が高かったクリエイティブを使い広告キャンペーンを実施したパターン」である。

 テレビCMの媒体予算もGRP(延べ視聴率)もほぼ同じだった。

【ケーススタディ:その2】

●テレビCMのクリエイティブを、会議室で適当に選定し、広告キャンペーンを実施したパターン……

●実施時期:2012年夏

●テレビCMの複数のクリエイティブを、事前にネットメディア(オンライン)の広告で【A/Bテスト】し、一番効果が高かったクリエイティブを使い広告キャンペーンを実施したパターン

●実施時期:2013年夏

※クライアント名がバレないよう、若干数値を調整済

 ご覧のとおり、2012年の「テレビCMのクリエイティブを、会議室で適当に選定し、広告キャンペーンを実施したパターン」は、大量のGRPをテレビ媒体で投下しても、広告投下量にあまり比例せず、出荷台数はほとんど変わらなかった……。つまり、商品があまり売れず、広告効果があまりなかった。

 翌2013年の「テレビCMの複数のクリエイティブを、事前にネットメディア(オンライン)の広告で【A/Bテスト】して、一番効果が高かったクリエイティブを使い広告キャンペーンを実施したパターン」では、ほぼ同じGRPをテレビ媒体で投下したのだが、広告投下量に比例し、なんとその商品の出荷台数がだいぶ上がったのだ。つまり、商品が売れ、広告効果が上がったのだ。

 イメージやブランディングを目的とする会社、もっと言うと、店舗販売しかしていない会社においても、ネットメディア(オンライン)の広告でテレビCMのクリエイティブの【A/Bテスト】をして、自社サイトへの遷移率を指標に一番効果の高いクリエイティブを判断。それをテレビなどのマスメディアでそのまま使うと、広告キャンペーンが最大化されることが証明されたのである。

※ちなみに余談だが、面白いことに、2012年の「テレビCMのクリエイティブを、会議室で適当に選定し、広告キャンペーンを実施したパターン」のテレビCMのクリエイティブは、たまたま広告賞を受賞したのだ。でも商品は売れなかった。

 逆に、2013年の「テレビCMの複数のクリエイティブを、事前にネットメディア(オンライン)の広告で【A/Bテスト】し、一番効果が高かったクリエイティブを使い広告キャンペーンを実施したパターン」のテレビCMのクリエイティブは、何の賞も受賞していない。でも、商品は売れたのだ!
「面白く話題になった広告」と「商品が売れた広告」はまったく別物だということが証明されたわけだ(笑)。