新聞、テレビで「円高・円安」という言葉を聞かない日はありません。このルーツには、超大国アメリカと、第2次世界大戦の敗戦国である日本と西ドイツが複雑に絡み合っています。見ていきましょう。
キーワードは、「日本・西ドイツの復興」
「アメリカの金の流出」
ニュースで「円高」「円安」という単語が出てこない日はありません。しかし戦後、ブレトン= ウッズ体制によって、通貨の交換比率は固定されたはずです。固定相場制では、「円高」「円安」など起こりえません。何があったのでしょうか。キーパーソンは、アメリカの第37代大統領、ニクソンです。
「1ドル=360円」の固定相場制が戦後の世界貿易を活性化させ、特に敗戦国である日本と西ドイツの経済復興を支えました。
両国は経済復興後も、通貨である日本円と西独マルクが安いレートで固定されていたので、日本製品と西ドイツ製品はドル換算では超安値となり、アメリカ市場へ大量に輸出されます。
アメリカ国内では、ケネディ、ジョンソンと2代続いた民主党政権のもとで福祉予算が増大し、ジョンソン政権が始めたヴェトナム戦争によって軍事費も拡大しました。財政再建のため、アメリカの中央銀行であるFRBがドルを増刷した結果、インフレが進んでアメリカ製品は値上がりし、安い日本製品、ドイツ製品が飛ぶように売れたわけです。
貿易代金の支払いはドルで行われます。日本企業や当時の西ドイツ企業がニューヨークの銀行に開いた口座に、ドルがどんどん払い込まれていきます。
彼らがドルを、「金に交換してくれ」と要求すれば、アメリカはイヤとはいえません。このままでは、アメリカが蓄えていた金がどんどん海外へ流出していきます。