まず、「聞く側」のキャパシティを考える必要があります。「聞く側」に自分がいると想像してみてください。
ビジネスマンであれば、日々多くのスピーチに接する機会があります。そのすべてを覚えていられるわけではありませんし、その必要もありません。自分に必要なこと、自分の毎日に役立ちそうなポイントだけが頭に残るのです。
プレゼンの天才といわれたスティーブ・ジョブズ。スタンフォード大学での約15分間の名スピーチで人々が覚えていることは、何でしょうか。「ステイハングリー、ステイフーリッシュ(ハングリーなままであれ、愚かなままであれ!)」のたったワンセンテンスです。
書籍だって、同じです。読んだ本のすみずみまで、ぜんぶ覚えている人はほとんどいないでしょう。全体として筆者が伝えたかったことと、幾つかの重要なポイントが頭に残れば、それでいいわけです。
書籍ならまだ読む人のペースで好きなところを拾い読みもできますが、スピーチはそうもいかないので、ポイントを絞ってあげることは、より必要になります。
そう考えれば、言いたいことを言いつくすのは必ずしも良くないと実感できますよね。
全体のテーマとしては1つに絞り、ポイントとなるキーワードも、せいぜい3つくらいに絞ったほうが、聞く人に対して親切だし、きっと良いスピーチだと言ってもらえます。