ところが、一生懸命に説明しようとしているのに、どうも相手はうわのそら、一応ウンウンとうなずいてくれているものの、話がどこまで通じているか手ごたえが感じられない。それどころか、ツマラなさそうによそ見をしている人までいる。そんな経験の1つや2つ、皆さんにもあるのではないでしょうか。
「説明しつくせ」ば、相手は提案を受け入れてくれるということ自体が、誤解です。
以前の僕は、あれやこれや、手を替え品を替え、すべてを説明しようと心がけていました。プレゼン相手が渋い表情を見せると、気持ちがあせってしまい、よく回らない口で、おおいかぶせるように説明をさらに繰り返す。とにかく沈黙に、耐えられなかったのです。説明を重ねることしか、解決法が頭に浮かびませんでした。
「説明しつくす」ことが、時に状況を悪くするのには3つの理由があります。
1. 人は物事を決めるときに、すべてではなく、何かのポイントで決めている
皆さん自身、買い物をするとき、人から提案をされたとき、すみずみまですべて検討しつくして決めることは、多くないでしょう。多くの提案や商品、サービスが、個人個人を完全に満足させることはできないからです。「どこかが気に入った」「何かがいい意味で心に引っかかった」。そうやって、人は物事を決めていきます。
2. OKしない理由もまた、どこかのポイントにある
人によって、ネガティブな意味で受け止める気になるポイントは、それぞれです。「だいたいはいいんだけど、あそこが気になる」「悪くはないんだけど、決めきれない」。提案では、そういったポイントを探り当て、それに対応することがとても大切です。
3.「説明しつくそう」とすると、ポイントの提示や対応が甘くなる
提案や商品、サービスの良いところはポイントとして提示、相手が選びやすくするほうが親切です。あるいは、相手が決めきれない理由を探って、対応することも必要です。