ついに“伏兵”にも抜かれた。半導体製造装置メーカーの国際工業会であるSEMIは3月17日、2014年の半導体製造装置の地域別売上高を発表した。つまり半導体の設備投資がどのエリアで行われたかを表す統計だが、14年は初めて中国が43.7億ドルと日本(41.8億ドル)を上回ったのだ。
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国・地域別では、トップが台湾で94.1億ドル、北米が81.6億ドル、韓国が68.4億ドルだった。13年まで4位だった日本は14年、半導体の生産地としての規模で中国を下回り世界5位に転落した。
現在ファウンドリー(半導体受託生産)世界4位で、米クアルコム向けに製造を行っているSMIC(中芯国際集成電路製造)などが大型の投資を行ったほか、米インテルや韓サムスン電子など外国籍企業を含め、中国国内での投資が増えた。一方、日本国内での投資は振るわなかったからだ。
国家が半導体強化の中国
2000年以前は、半導体の生産国としての存在感はほとんどゼロだった中国。それが急速に成長してきたのは、国家戦略で半導体産業を強化してきたことが背景にある。貿易赤字の原因である半導体の輸入を減らし国産に切り替えること、そして半導体産業を強くすることが、国家として技術全般の強化に必要との考えからだ。
一連の強化策の下、SMICやファブレスのスプレッドトラムなど、米国市場に上場する企業も生まれた。
現在はその多くが後工程(組み立て)工場となっているものの、14年6月には中国政府は「国家IC産業発展推進ガイドライン」を設定。これまで研究機関や大学などが中心だった投資を民間企業にも広げ、15年の国内の半導体売上高を3500億元(約6兆8000億円)に伸ばし、さらに30年までに世界トップクラスの半導体企業を複数育成することを国家目標として掲げているのだ。さらに新たに、「国家産業投資基金」という名称で2兆円規模の基金を設立、半導体分野に投資を行う。