女性らしさでビジネスに成功するには?

小島 女でなければここまで注目されずに楽だったと思いますか? それとも女だから注目されて得をしたと思いますか?

石坂典子(いしざか・のりこ)
石坂産業株式会社代表取締役社長。「所沢ダイオキシン騒動」最中に2代目社長に。地域から嫌われ、社員の4割が去る絶体絶命の状況から「脱・産廃屋」を目指し、社員教育を断行。12年かけて、トヨタ、全日空、日本経営合理化協会、各種中小企業、大臣、知事、大学教授、タレント、ベストセラー作家、小学生、中南米・カリブ10ヵ国大使まで、日本全国だけでなく世界中からも見学者があとを絶たない企業に変える。経済産業省「おもてなし経営企業選」選抜。2013年末、首相官邸からも招待。財団法人日本そうじ協会主催の「掃除大賞」と「文部科学大臣賞」をダブル受賞。『心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU』(日本テレビ系)にも出演。ホタルやニホンミツバチが飛び交う里山保全活動に取り組み、JHEP(ハビタット評価認証制度)最高ランクの「AAA」を取得(日本では2社のみ)。「所沢のジャンヌ・ダルク」という異名も。本書が初の著書。(撮影:平山順一)

石坂 「女に経営者はできない」と言われて、男っぽく振る舞っていたわけですけど、所詮、女は女。男にはなれない。むしろ女性らしさをビジネスに活かすようになってからうまくいくようになったと思います。

小島 プラントをパン工場のようにして見学できるようにしたり、きれいな新社屋を建てたり、社員のふるまいをきちんとしたり、広大な森を整備したりと、見た目を整えていきますよね。

石坂 小さい頃、社名が「石坂組」だったことから「組長の娘」と呼ばれたり、「ゴミ屋さん」と言われ続けたりして、見た目をものすごく意識させられたんです。見え方が大事と強く感じていました。

小島 女性は、若いうちにぶつかる壁があると思うんです。
 まず、「女の子」と言われなくなる年齢。これは喜ばしいことでもあるんですが、残念ながらまだ現状では、その次が見えにくい。
 女性アナウンサーの場合、若くて華やかな雰囲気が出せる年齢はごく数年です。その後は、落ちついた雰囲気が出せる年齢、貫禄を感じさせる年齢に変わり、仕事の質も変わる。番組にはいろいろな役割があるので、自分の役割も変わってきます。
 それなのに「30歳定年説」という週刊誌が勝手につくったフレーズを真に受けて悩む人もいるんです。
 それに確かに、いざ本気で勝負しようとしても、「男社会に特別に入れてあげている女」という扱いはなかなかとれない。産廃業界にもそういうところはありますか?

石坂 事業をあえて女性に継がせるケースは少ないかな。社長になってからは、親の台座にすわっている社長と言われ続けました。すべて与えられて、楽をして、いい給料をもらっていると。それを最も忙しい時期に、夫から言われたときには傷ついて崩れました。本当に誰にもわかってもらえないんだと……。
 小島さんも同じような時期に苦しい思いをされているんですよね。

小島不安障害に苦しんでいるときに「自分なんか死んでしまえばいいんだ」と何度も夫に言いました。
 死んでしまおうと思って、マンションのベランダにあるエアコンの室外機の上にしゃがんでいたこともありました。
夫は静かに話を聞いてくれ、部屋に連れ戻してくれたのですが……。