まず確認すべきは「あなたの会社はディストリビューターなのか、セールスレップなのか」です。

 もし相手が「ディストリビューター」や「セールスレップ」という言葉を理解してなければ、その語句の意味も説明しなければなりません。つまり我々から製品を購入して再販するつもりなのか、それとも販売の代行だけして後で成功報酬がほしいのか、という説明です。特にアジア地域ではこの区別がついていませんから、注意しましょう。

 相手がディストリビューターであれば、あなたの会社からモノを買う人ですから、彼らと交渉すべきことは基本的に売買条件になります。注文の数量、価格、納期、支払い条件、といったことを詰めてきましょう。

 一方、相手がセールスレップであれば、彼らに質問すべきは「どの地域に販売したいのか?」「その地域に有望な売り先としてどういった会社があるのか?」「コミッション(成功報酬)としてどれくらいの料率を求めるのか?」「我々の製品はただ単に売るだけでは十分ではなく、アフターケアも必要になるがそれが可能か?」等です。

 つまり、ディストリビューターとセールスレップでは交渉すべきことが違うので、相手がどちらなのか認識していないと交渉が成立しないのです。

あらかじめ自社の条件・要望をまとめておこう

 こういったことは自社が求める販売代理店の条件・要望として、あらかじめまとめておくとよいでしょう。

 大まかに言えば、次のような要望です。

「我々はアジア各国にディストリビューターがほしい。在庫をもって再販してくれる会社だ。再販価格は各国の実情に合わせて任せるつもりだ」

「我々は、中国に在庫保管するディストリビューターが最低1社ほしい。あと中国は広いので、最低5か所にセールスレップを求めている」

「ヨーロッパ各国に、現地言語での問い合わせ先となるセールスレップがほしい。顧客の最初の窓口となってくれるだけでよい。先方が本気であるとわかれば、日本につないでくれ。細かい打ち合わせは日本からエンジニアを派遣して行うから」

 展示会での接客のコツなど具体策については、著書『中小企業が「海外で製品を販売したい」と思ったら最初に読む本』で“基本的な6分間商談プロセス”などを紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。