他電力は東芝を敬遠

 そして、このスマートメーター事業こそが、現在、世間を揺るがしている東芝の不適切会計で、約半分を占めているのだ。現状では不適切会計の全容はまだ判明していないが、減額修正が必要とされる約500億円のうち、約260億円を占めるとされている。

 東芝関係者は「新たな事業の収益化を急いでいたため、受注後のコスト増を反映させなかったのではないか」などと説明している。

 事態は今も悪化中だ。

 関係者の一人によると、メーターの通信方式は三つあるが、東芝製品でまともに接続できているのはそのうち1方式だけ。工期が大幅に遅れる中で、東芝の技術レベルに合わせてその方式に一本化する動きがあったが、「ただでさえコストが想定以上に掛かっている上、さらにコスト増になると判断した」(関係者)のか、直前に撤回されたという。

 そして、結局、解決策がないまま、“スマートではないメーター”が設置されているのだ。今や、惨状を知る他の電力会社は全て、東芝以外のメーカーに通信部分を発注することを決めている。

 原子力を含めた発電分野から半導体まで、不適切会計の全容はまだ見えていない。だが、会計が水増しされるということは、このように事業自体もうまくいっていない可能性も高い。一刻も早い改善が望まれる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 森川 潤)