だが、それでいいのだ。既存の政治家にとって一番の脅威は「新規参入」だからだ。

 彼らの立場を危うくするのは、新しい有権者の登場ではなく、新しい候補者の登場なのだ。

選挙カーにも細かい規定、ウグイス嬢がチラシを配るとNG
「よくわからないルール」で逮捕者続出

 複雑な公選法がいかに時代遅れかを示す例を挙げ始めたらキリがないが、いくつか紹介したい。

 たとえば、選挙の度に騒音で世間に迷惑をかけている選挙カー。見た目からして古くさい印象を持つ人も多いかもしれないが、この選挙カーには候補者の名前を書いた看板を設置することができる。ところが、これを「夜でも見えるように光を当てたい」と考えた瞬間、公選法の規定が問題になる。

 公選法において、選挙カーに設置する文書図画は「ポスター、立札、ちょうちん及び看板の類」でなければならないと定められており、それぞれに大きさなどが細かく規定されている。看板の裏側から光を照らしてしまうと、四方が閉じられた中から光を当てているため、「ちょうちん」と見做されてしまうのである。「ちょうちん」となると、大きさ制限に引っかかってしまい、「こんな大きなちょうちんは公選法違反だ」と選挙違反になってしまう。

 筆者が2014年12月の衆議院議員選挙に立候補したときに、実際に使った選挙カーをよく見てもらうとわかるが、実は四隅に5cmほどの隙間を開けてある。これをもって「閉ざされた形じゃないから、ちょうちんではない」と主張できる。ちなみに、この選挙カーは警察署に持っていき、警察官が数名で検査をして合格したものだ。

 こんなバカげたことを大の大人たちが大真面目でやっているのが今の選挙制度だ。こんなしょうもないことを若者や新人候補者が知っているはずがないし、知らない方がまともだ。

 筆者がこの選挙カーを警察に持ち込んだ時、警察官は真面目な顔でこう言った。

「ルールを作る先生になろうとしているんだから、ルールはちゃんと守ってもらわないとね」

 たしかに一理ある。ただ、改革や変化を志向する人ほど、細かく意味のわからないルールや風習などが苦手な傾向はないだろうか。柔軟で自由な発想をする人が、こんなわけのわからない規制だらけの世界に来たいとは思うまい。

>>後編『志ある若者を立候補させない選挙制度のトンデモ参入障壁(下)』に続きます。

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