会社経営者や個人事業主は、ビジネスのシーズ(種)をどのように探しているのだろうか? よく言われるのが、人脈を活用することだ。有能な経営者ほど、よく人に会う。パワーランチ、パワーディナーと称し、舌鼓を打ちながら情報を得る。そして、特に重要なのが、新しく有益な情報を知っている「インフルエンサー」と呼ばれる人たちとの人脈だ。有能な経営者はその人種と頻繁に会い、ネタを仕入れている。それが新規ビジネス発想の元になることも少なくない。
キーワードのおおよその月間検索数が分かる「Googleキーワードツール」。複合語検索ワードにも対応している。 |
ただ、そのネタが今の時流に乗っているかどうかを確かめる術となると、なかなか持ち合わせていないのではないか? そこで、オススメしたいのが、Googleの無料のツールを使う方法だ(すべての機能を使うためにはGoogleのアカウントを取得しログインしてから使用する必要がある)。
まずは、「Googleキーワードツール」。これは、本来Googleのリスティング広告を掲載する際に必要なキーワードを探すためのツールだが、キーワードに対するおおよその月間検索数が表示されるのがミソ。「検索数が多い」=「世間の関心事」と捉えることができ、すなわち、トレンドかどうかを手軽に占えるというわけだ。
使い方は簡単。検索窓にネタとなるキーワードを入力し、「キーワードの候補を取得」というボタンを押すだけである。試しに、「BeeTV」(最近話題のケータイ専用チャンネル)を入力し調べると、5月の検索数が60500件と出た。実際にこのツールをビジネスシーズ探しに活用しているある若手起業家は「1000件を超えるかどうかが目安」と、言っていた。その基準に照らせば、「BeeTV」は非常にホットなネタといえる。
個々のキーワードについて、検索回数のトレンド(指数)を分析できる「Googleインサイト」。 |
そのネタが上昇トレンドか、下降トレンドか、傾向も気になるところだろう。それをチェックできるのが、「Googleインサイト」だ。このツールでは期間中に最も検索数が多かった時期を100として、それに対する各時期の値を相対評価で表す。インターフェースは英語だが、日本語のデータにもしっかり対応している。
これも使い方は簡単で、「Search terms」と書かれた検索窓にキーワードを入力し、「Search」というボタンを押すだけだ。例えば、先の「BeeTV」を入力して調べると、サービスを開始した5月に急激に伸びたが、6月はその反動で下降しているのが見て取れる。トレンドとしてはホットだが、どう動くかは注視が必要といった分析ができそうだ。Googleインサイトはさらにどの地域の人がよく検索しているかといった傾向も見ることができる。「BeeTV」に関しては、東京が多いようだ。
一方で、そもそも有益な情報をもたらしてくれる人脈が手薄な人もいるだろう。そうした場合は、ネット上でインフルエンサーが発信する情報の助けを借りる手もある。有名どころで言えば、サイバーエージェントの藤田社長やGMOインターネットグループの熊谷社長のブログなどには新鮮で有益なネタが多いようだ。また、アルファブロガー(多くの読者を抱える影響力のあるブロガー)のリストから、情報源を選んで定期的にチェックするのも一考である。
株にたとえれば、インフルエンサーやアルファブロガーのブログで銘柄を選び、Googleキーワードツールで株価を見て、Googleインサイトでチャートをチェックする、という流れになる。ビジネスシーズを探す際のステップとして、一度活用してみてはいかがだろうか。
(大来 俊)