白タク問題については、これまでもレンタカーの運転手付き白タク行為や、タクシーがつかまらないことによるバブル時の白タク行為の氾濫などがあった。それでも、これらは道路運送法違反で取り締まりにあった。ライドシェアビジネスがシェア経済のうねりの流れで合法化されると、確かにタクシー業界を直撃することになろう。 

 タクシー台数の供給過剰を是正し、低位にある乗務員の給与水準を引き上げる目的で、2013年暮れに改正タクシー特措法が成立し、これに対応した全国の特定地域指定や国家戦略特区での規制緩和の動きが始まるなど、タクシー業界を取り巻く情勢は厳しい。

 このため、タクシー業界からライドシェアビジネスについて、「素人ドライバーを使ったマッチングサービス、運転者の紹介に過ぎない。事故に保証義務を負わない無責任な業態を日本に持ち込むことが許されるのか。安全、安心は二の次の業界が外からやってこようとしている」との声が上がっている。

 すでに、欧州では2014年にタクシードライバーによる大規模なライドシェア反対デモが起きるなど、軋轢が出ている。確かに、ライドシェアについても信頼性や安全性の保証など、抱える問題も少なからずある。

 それでも、クルマ社会が定着する中で移動体の可能性が多様化することは、モビリティ環境を進化させていく。つまり、シェアリングエコノミーにおけるライドシェアも、時代が求めるモビリティ活用ということでもあろう。米ウーバーは、自動運転開発へも積極的な取組みを示していると言うし、自動車配車サービス事業が新時代へ対応しようとする方向性も出始めている。

モビリティの使用環境は多様化
利用者を味方につけられる者が勝つ

 かつての「マイカー時代」には、「クルマを所有したい」という人が増え続け、世の中にクルマを所有することへの喜びがあった。それがクルマを単に「保有する」ことから「利用する」ことへと、価値観や求めるサービスが変化しつつある。つまり、マイカーからカーリース、カーシェアリング、さらにライドシェアと、クルマの使用環境は多様化している。

 ライドシェアビジネスという新たな事業の成否については、規制緩和や信頼性などの課題クリアが第1関門となる。既存のタクシー事業者サイドにしても、反対するだけでなく、サービス業として質の向上を目指し、利用者を味方に付ける必要があろう。

 今後ライドシェアビジネスを利用者サイドが求めるトレンドが本格化するかどうか、世の中の動向を注視したい。