同じ方向を目指している
営業と編集

──営業部門と編集部門の関係で、ダイヤモンド社ならでの強みはありますか?

和田 まず言えることは、営業と編集が同じ方向を向いているということです。読者のため、書店さんのため、著者とコンテンツのために、自分たちに何ができるか──すべてそこから議論がスタートしているので、常に前向きな話ができますよね。

書籍編集局第2編集部編集長
小川敦行(おがわ・あつゆき)
大学卒業後、青春出版社を経てダイヤモンド社入社。書籍編集部、週刊ダイヤモンド編集部を経験し、2012年より現職。担当書籍に『ドラッカー名言集 仕事の哲学』『企業価値を創造する会計指標入門』『原子炉時限爆弾』『仮想通貨革命』『主食をやめると健康になる』等がある。

小川 私も、和田さんと同じ意見です。営業と編集がバラバラな状態というのは、手足が別々の意志で動いている恐竜みたいなもので、どんなにポテンシャルがある本でも売り伸ばすのは難しいでしょう。一方、両者のベクトルが揃えば「1+1」が3にも4にもなります。
その一例として、『生まれつき美人に見せる』『いつもの服をそのまま着ているだけなのに なぜだかおしゃれに見える』『毎朝、服に迷わない』などの売り伸ばしが挙げられます。これらは女性実用書に強い編集者が中途入社して担当したのですが、それまでダイヤではまったく土地勘がないジャンルでした。他の出版社さんなら厳しい意見が出てもおかしくないと思いますが、うちの営業部の人たちは編集段階からさまざまな提案をしてくれました。発売後も書店様へのきめ細かな営業活動のお陰で順調に売上が伸びていきました。非常に心強いですね。

和田 新しいチャレンジを営業が歓迎してくれる雰囲気があるんですよね。さらには、編集と営業でタッグを組んでプレゼンを行い、大きな企画を通すなど、営業との協力体制を最大限活かしたダイナミックな本作りができるのも、弊社の特徴だと思います。全6巻で刊行した『稲盛和夫経営講演選集』などもその好例だと思います。

書籍編集局局次長兼第4編集部編集長
土江英明(つちえ・ひであき)
大学卒業後、ダイヤモンド社入社。『type』編集長などを経て、現職。担当書籍に『伝え方が9割』シリーズ、『面接の達人』シリーズ、『媚びない人生』『自分の会社をつくるということ』『あたらしい働き方』『50イングリッシュ』『カエルを食べてしまえ』『ハゲタカ』等がある。

土江 うちは業界内でもいちばん仲の良い営業部と編集部かもしれません(笑)。ベタベタした関係ということではなく、相互信頼があるという意味です。販売戦略、プロモーション戦略に強い信頼感を持っているので、たとえば初版部数なども営業部が決めた数字なら編集者は納得!という感じがあります。もし初版部数が少なくても、ヒットの気配を感じたら勇猛果敢に重版を決めてくれますしね。
 また「今まで本を出したことはないけれど、凄いコンテンツや仕事での圧倒的な実績を持っている著者」をうちの営業部は大好きですね。「数多くの出版社のなかから、処女作を弊社に任せていただいて感激しています」という姿勢を感じます。自社ながらこういう文化は素敵だなと思います。

市川 いまは編集も営業も、企画をスタート時点から一緒に育てていこうとする意識が強いですよね。できあがったものをどう売るかではなく、より売れるものにするためにどうするかを共に考える。それが結果として、会社としての強みになっているんじゃないでしょうか。
また、最近は独自のプロモーション戦略も大きな強みになっています。これまでダイヤモンド社では、10万部クラスのものは多くあっても、30万部や40万、あるいは100万部という本はあまりありませんでしたが、今は編集部・書店営業部・開発営業部・宣伝プロモーション部などが緻密に連携して、店頭展開・広告・WEB販促などの仕掛けからビッグヒットを生み出すノウハウが蓄積できていると思います。