ドイツ・ベルリン市内で開催された国際家電見本市「IFA2015」。会場で、パナソニックの津賀一宏社長が週刊ダイヤモンドなどのインタビューに応じ、欧州での家電製品における競争条件の変化や、ブランド戦略、中国発の世界経済の減速の影響などについて語った。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 中村正毅)

──各社のブースを見て回った感想と、その中でパナの立ち位置をどう分析しているか。

つが・かずひろ/1956年生まれ、大阪府出身。79年大阪大卒、松下電器産業(現パナソニック)入社。マルチメディア開発センター所長、AVCモバイル・サーバー開発センター所長、AVCネットワークス社社長などを経て、12年6月から現職。58歳。

 各社とも新製品の驚きがほとんどなくなって、ステディ(安定的)に商品をつくっていこうという姿勢に変わってきたというのが実感だ。サムスンでもソニーでもそうだ。我々自身も昨年までは車を置いたりして、展示全体をコンシューマーから少し外したかたちにしていたが、どのような価値を訴求できるのかということを考え、今年は家電で真っ向勝負している。

 海外メーカーは、メインで売っているテレビでなかなか利益が出ないという中で、どんぶり勘定的な経営や製品の展開をやめ、しっかりと価値を訴求できるような正常形(の展示)に戻ってきている。 

 テレビはテクノロジーの進化が早く、展示会でもテクノロジー訴求が先行していた。OLED(有機EL)はたしかに新しいテクノロジーだが、それでテレビがどう変わるのかというのがなければ、顧客の反応は薄いままだ。

──オーディオ専用ブランドの「テクニクス」が復活してから1年、欧州で白物家電を投入してから6年が経つが、どう事業を見ているか。

 テクニクスについては、とにかく我々の姿勢を先行させて、高級オーディオシステムということで、売り出した。実際の商売につながっていくには、それなりの年数もかかるし、今持っているオーディオシステムや部屋との整合性などいろいろな視点がある。そのへんを着実に増やしていくことが狙いだ。その意味では狙い通りにきている。

 また、全く新しい技術で、ターンテーブルの名機と呼ばれたダイレクトドライブを超える製品を出そうとしており、順調にきている。店側からも評価をもらっている。

 白物については、冷蔵庫、洗濯機の領域では欧州ではまだまだ。特にドイツは、過去からの伝統あるメーカーがいるのでまだ時間がかかるかなと。

──今回展示した4KのOLEDのテレビについてはどうか。