それと手前味噌ながら、私自身がいくつからでも記憶の能力が伸びる証明になっていると思います。

 というのは、私が記憶競技をスタートしたのは先にお伝えした通り40代の半ばです。そこから約2年間、いろいろな記憶競技の大会に参加していますが、その記録がだんだん伸びてきているのです。

 冒頭に紹介した1450の数字記憶の記録は、最近、中国で開催された世界選手権での記録で、グランドマスターを獲得した2013年のロンドン大会の記録より大幅に伸びています。

 このように刺激を与え続ければ脳はいつからでも成長できるのです。そして、その脳を使う記憶力ももちろん諦めなくていいのです。

 私自身も脳に刺激を与え続けていくつもりです。今の夢のひとつは60歳で世界記憶力選手権に出場し、シニアの部で世界一になることですから。

これからも記憶力は重要な能力です

 今やテクノロジーの発達により便利な世の中になりました。重要な情報は全て機械に記憶させ、欲しい情報はいつでもインターネットから取り出すことができるようになりました。これからもテクノロジーはますます発展していくことでしょう。それは素晴らしいことです。しかし、一方テクノロジーに頼りすぎて人間が本来持つ能力が退化しては良いわけがありません。

 なぜなら今までも、そしてこれからも人間を判断する材料は「学力」「学歴」「資格」「免許」など、試験で得られる結果で判断されることに変わりがないからです。

 そうはっきり言えるのは、試験が得点だけを見るものではないからです。合格までに費やした時間、教材、授業料などの「経済力」、継続して勉強を続けてこられた「意志力」、その他「集中力」等々、試験とは得点だけでなく、このようにその人が持っている総合的な人間力を判断できる方法だからです。

 今後もきっと、人の判断基準として試験という形態は続いていくでしょう。

 そしてその試験をクリアするための重要な能力が記憶力なのではないでしょうか。

記憶力とは「想像力」です

 今回を含めて今後7回に渡って仕事や生活のなかで役に立つ記憶のテクニックをご紹介していきます。

 記憶力と言っているものの、連載をお読みいただくとおわかりになると思いますが、実は記憶の技術にとって最も必要なのはイマジネーションの力、つまり「想像力」です。大人になるとどうしても常識の枠にとらわれがちになりますが、記憶力を向上させるために必要なのは子どものように純粋で型にはまらない想像力なのです。

 皆様も大いに想像力の羽を広げて記憶のテクニックを習得していただければ私としても嬉しいかぎりです。