「アレオレ詐欺」が面接で多発する不思議
たくさん面接をしていると、世の中やその業界のなかで誰もが知っているサービスや製品について、「私があのサービスを立ち上げました」「あの製品をつくったのは私です」と言う人に出会うことがあります。
それが本当なら「凄い人材がやってきた!」ということになりますが、面白いのは同じ主張をする別の人がけっこう現れたりすることです。ある有名なウェブサービスについて「私がつくりました」と言う人は100人いるという話もあります。実際、そのうち3人は私の直接の知り合いです。
では3人のうち2人はウソをついているのかというと、そんなことはありません。1人は最初の企画をつくり、会社の承認を得てサービスの道筋をつくった人。もう1人は実際にサービスを構築した人。最後の1人は当初、たいしたことのなかったサービスをきちんと使える水準に引き上げた人で、3人それぞれ「私がつくりました」と言っても差し支えない関わり方をしているのです。
逆に自分を大きく見せるため、プロジェクトにほんのちょっと関わっていただけで「アレはオレの仕事」と言うような人もいます。これを「アレオレ詐欺」といいます。この詐欺に引っかかるのを防ぎ、正味のところを評価するために、面接する側は「私が立ち上げた」という言葉の内実を確認することになります。
本当にその立ち上げに関わっていたのか。関わっていたとしたらプロジェクトでどんな役割を果たし、どんな貢献をしたのか。この過程でたいていのアレオレ詐欺は見抜かれます。みんなで立ち上げた仕事をさも自分1人でやったかのようにいう人もいますが、話を盛り過ぎる行為はしてはいけません。
ただし、自分を大きく見せるためではなく、圧倒的に当事者意識が強いために本気で自分がそのサービスを立ち上げたと思い込んでいるケースもあります。当事者意識の強さは会社にとって歓迎すべき要因なので、このタイプの人はまた別の評価になります。