大田区は、東京23区の中で最も広い区だ。人口でも第3位。田園調布のような高級住宅地と、蒲田に代表される町工場の街という、両方の顔を持つ。大森貝塚、多摩川台古墳群、池上本門寺五重塔など、史跡も豊かである。土地が広いだけにスケールも大きく、潜在的可能性もまだまだ秘めている。何と言っても、羽田空港があるではないか。

人口で他の区に抜かれつつも
広さではトップを守り続ける

 この大田区、久しくライバルは世田谷区だった。人口では、大田区がトップの時代があった。1950(昭和25)年より20年間ほどにわたり国勢調査(5年おき)のたびに、目まぐるしく人口第1位の座を世田谷区と交替した。

 70(昭和45)年に世田谷区がトップに立つと、以後は徐々にその差を広げられ、20世紀末(2000年)の国勢調査ではついに練馬区に2位の座を奪われ、現在第3位となっている。

 ただし広さでは、現在大田区がトップの座にいる。その面積59.46平方キロメートルは、東京都の特別区部(23区)全体のおよそ10分の1ほどを占める。かつてのナンバーワンは世田谷区(58.08平方キロメートル)であった。

 国土地理院のデータによれば、92(平成4)年12月に、それまでの56.29平方キロメートルから3.17平方キロメートル増大して、現在の面積となっている。世田谷区との違いは、海に臨んでいること。東京湾の埋め立てによって、大田区の土地は生き物のように成長したのだ。

 なお、中央防波堤埋立地の帰属について江東区との間で調整中だ。大田区はもっと広くなるのだろうか。