一般的に、書籍や雑誌を販売して書店側が得る利益は約2割と言われる。これに対し、教科書は約1割しかない。だが、地場書店、中堅中小規模の書店は「一般書籍の売り上げ減を教科書販売の薄利でかろうじて支えている状態」(東北地方の書店)なのだ。

 つまり、「電子教科書が急速に普及して、書店を通さずにダウンロードされてしまうと、最後の砦がなくなってしまう。そして、一気に廃業という事態が現実味を帯びてくる」(同)という理屈である。

教科書の電子化で中堅中小書店の息の根が止まる?

 全国教科書供給協会によれば、教科書を直接、学校に販売する書店・業者(準会員)の数は3348社(2009年4月現在)。筆者が指摘した地方の中堅中小書店の多くが、この中に含まれている。

 ある出版社のリポートによれば、ピーク時の20年前に全国で約3万店あった書店数は、現在約1万5000店にまで減少したと推計される。さらには、iPadなど多機能情報端末の普及により「今後10年程度で書店数は約5000店にまで減少する公算が大」という。

 アップルが携帯音楽プレーヤーの「iPod」、音楽配信のプラットフォーム「iTunes」をリリースして以降、CDの販売が急激に落ち込み、街のレコード販売業だけでなく、大手のCDショップも甚大な影響を受けた。

 今後、電子書籍対応の多機能情報端末が急速に普及した場合、「CD販売と同じような現象が書籍でも起こる公算が大きい」というのが、この出版社がリポートをまとめた背景にある。

 一般書籍・雑誌の先行きを見通した場合でさえこの状態であり、「経営をなんとか下支えしてきた教科書が一気に電子化された場合、中堅中小書店の息の根が止まる」(前出の東海地方の書店)という危機感が書店側に強い。

 先の教科書出版関係者によれば、「現場の教師の理解を得ながら、機材の導入が行き渡るにはあと3~4年程度は確実にかかる」という。だが、7月から動き出すデジタル教科書教材協議会、あるいは国などの各種審議会等では、着実に電子教科書実現に向けての議論が進行するはずだ。

 ただし、筆者個人の意見としては、こうした一連の議論の場に、地方の中堅中小書店の意見を反映する必要があると考える。そうでなければ、街の商店街から一斉に書店が消えるという事態が起こり得るからだ。

 中堅中小の書店は街の文化発信基地であり、必要不可欠な存在である。「電子教科書」に対する中堅中小書店の不安を解消させる議論、ひいては激変緩和措置が必要なのではないだろうか。